どうも。新潟県三条市の中心部(まんなか)にある由緒正しき飲食店街「本寺小路」(ほんじこうじ)でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を開業準備中の店主いけのです。
Facebookさんによると、今日でFacebookに個人アカウントを作って5周年らしいです。
そうそう、その前から、Facebook自体は知っていたけれども、地方公務員という守秘義務とかが面倒くさい職業でもあって様子を窺っていたものの、ちょうどその頃、デヴィッド・フィンチャー大先生によるザッカーバーグ伝記映画「ソーシャル・ネットワーク」を見に行って、Facebook関連本とかもいくつか読んで、アカウントを作った記憶があります。
1995年秋にInternet Exproler標準搭載のWindows 95が出た直後の1996年春から理系大学に通った身としましては、ITがどのように世の中を変えていくのか、シリコンバレーのど真ん中にいる人たちが物事をどう考えているのか、というのは20年経っても興味が尽きないところ。
その業界に身を投じて自分も成り上がろうとは当時も今も思いませんが。
と言う訳で、我ながら本を読むのが遅すぎて嫌になりますが、ベン・ホロウィッツ著「ハード・シングス」読みました。
ベン・ホロウィッツという名前は記憶になかったのですが、マーク・アンドリーセンの事業パートナー、と聞けば、結構なやり手の訳であります。
マーク・アドンリーセンは、それこそ、そのWin95以前、インターネット黎明期にMosaic、そしてNetscapeを若くして立ち上げた伝説の人物。ホロウィッツは、Mosaicを通じて彼の存在を知り、Netscapeという新しい事業を起こそうとしている、と聞いて、志願して入社したのだとか。
その後、Microsoftの追撃に遭い、彼らは事業ドメインの変更を余儀なくされるのですが、ホロウィッツの本書での記述によれば、Microsoft社にとっては、IEのリリースこそが、ハードウェアからインターネットへの移行を推し進め、Windows OSの優位性を失わせる彼らの終わりの始まりだった、と。
本書は、現在ではアンドリーセンと共にVCを運営し、若手起業家を支援するホロウィッツによる、自身の経験した企業経営の困難さ(Hard Things)と、その反省からくる若い起業家向けのメッセージ。
冒頭から、
マネジメントについての自己啓発書を読むたびに、私は「なるほど。しかし、本当に難しいのはそこじゃないんだ」と感じ続けてきた。
本当に難しいのは、大きく大胆な目標を設定することではない。本当に難しいのは、大きな目標を達成しそこなったときに社員をレイオフ(解雇)することだ。本当に難しいのは、優秀な人々を採用することではない。本当に難しいのは、その優秀な人々が既得権にあぐらをかいて、不当な要求をし始めたときに対処することだ。本当に難しいのは、会社の組織をデザインすることではない。本当に難しいのは、そうして組織をデザインした会社で人々を意思疎通させることだ。本当に難しいのは、大きく夢見ることではない。その夢が悪夢に変わり、冷や汗を流しながら深夜に目覚めるときが本当につらいのだ。
経営の自己啓発書は、そもそも対処法が存在しない問題に、対処法を教えようとするところに問題がある。非常に複雑で流動的な問題には、決まった対処法はない。
- p.10
と始まり、以下、いかに企業経営が困難であるかが、延々と300ページ以上にわたって続きます。
世界全体で急速に発展するITベンチャーに比べれば、雇う人数も調達する資金も、あるいは要求されるスピード感もケタが全然、違うかもしれないけれども、しかし、どんな分野であれ、経営、あるいは組織の運営に携わる人、あるいは将来、携わろうという人には、読んでみる価値がある一冊なのではないかと思いました。
意志の力で困難さに立ち向かう、という姿勢はアメリカ人ぽいし、日本人はもう少し気楽に構えてよいのでは、と思わないでもない箇所もありましたが。
CEOとしての私の体験からして、もっとも困難な決断は知性よりも勇気を必要とした。何が正しい選択肢であるかは多くの場合自明だ。しかし、間違った決断に向かわせる圧力も圧倒的なのだ。
- p.288
まあ、でも、経営者の仕事というのは、おおむね、こういうことなのだろうし、この華々しくない世界に耐えきれない、と思う人は経営には向いてないのではないか、とか、やはり思う訳です。
向いてる向いてない、と言うか、経営者になったら、やるしかないんだよ、という話ではありますが。
今、私は日々起業家と接しているが、一番伝えたいのはこの教えだ。自分の独特の性格を愛せ。生い立ちを愛せ。直感を愛せ。成功の鍵はそこにしかない。私は彼らに前途に待ち受ける困難さを伝えることはできるが、困難に直面したときに何をすべきかは、彼が自ら判断する以外ない。
- p.377