Beerhouse3営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋はじめました

雪の上にどうやって真っ直ぐに足跡をつけるか

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 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか開業いたしました店主いけのです。

 

 4月に入って一度季節外れの雪が降ったとは言え、もう桜も散っているというのに、今さら、雪の話かよ、という気もするのですが、たとえ話ですので。

 

 とは言え、なんで、今、この話を書こうと思ったのか。何か、企業経営や組織運営における指針の立て方、戦略性についての話を、誰かとしているときだったと思うのですが、それも忘れました。

 

 ともあれ、本題。

 

 機械科に在籍しながら機械メーカーに行く気はさらさらなくなり、戦略コンサル中心に就職活動していた頃に聞いた話。

 とは言え、これも記憶が曖昧で、当時、大学の経営系の講義で聴いたのか、コンサルの会社説明会とかで現役コンサルの方に聞いたのか、情報収集中にネットや本で読んだ話だったのか。

 

 ある冬の朝。夜の間に降り積もった雪の中で、3人の少年が遊んでいた。やがて、3人は、「まっさらの雪原の上に、誰が一番真っ直ぐな足跡をつけられるか競おう」、という話になった。

 

 1人目の少年は、注意深く足元を見つめながら歩いた。結果は、大きく旋回していた。

 

 それを見た2人目の少年は、雪原の奥にある山の頂を目標に定め、歩いて行った。真っ直ぐに山に向かって歩いているようで、実際には、右に行ったり、左に行ったり、とても真っ直ぐとは言えない結果だった。

 

 最後の3人目の少年(彼は後に偉大な経営者になるのだが)は、遠くの山を見ると同時に、その手前にある工場の煙突を重ね合わせ、山と煙突が常に同じ角度で重なるように注意深く歩いた。彼の後には、真っ直ぐな足跡が残った。

 

 確か、そんな話。確認しようと、色々とぐぐって見ましたが類似の話は見当たらず、どこで聞いたのやら。

 とは言え、今回、書こうと思った理由自体は不確かなものの、この話自体は、初めて聞いてから15年以上経つ中で、しばしば思い起こす機会のある、核心を突いた話と思っている次第。

 趣旨としては、自分の現状と、長期的な目標、中間計画とを常に照らし合わせて、自分の立ち位置を随時、確認しながら進むことが肝要だ、と理解しておりますが。

  

 一方、ちょっと似ているようで、少し違う話だと思ったのが、クレイトン・クリステンセンの「イノベーション・オブ・ライフ」に出てくる、「意図的戦略」と「創発的戦略」のくだり。

 「イノベーション・オブ・ライフ」は、成功した大企業が成功戦略に忠実であるがゆえに新興企業に敗れ去る姿を描く「イノベーションのジレンマ」で名高いクリステンセン先生*1による大学講義の書籍化で、企業戦略論を人生の意思決定に応用しようという話。

 

 戦略の選択肢は、2つのまったく異なる源から生まれる。1つめの源は予期された機会、つまり前もって予見し、意図的に追求することができる機会だ。

 (略)

 予期された機会を中心とする計画を実行するとき、意図的戦略を推進しているという。 

 (略)

 2つめの源は予期されない機会で、一般的には意図的な計画や戦略を決定、推進するうちに生じる、さまざまな問題や機会の混じり合ったものをいう。

 (略)

 企業はここで選択を迫られる。当初の計画に固執するのか、それを修正するか、それとも新しく生じた選択肢の1つに完全に乗り換えるかだ。

 (略)

 一般に、修正された戦略は、企業が予期されない機会を追求し、予期されない問題を解決するうちに下す、日々のさまざまなな決定が凝縮したものであることが多い。このようにして形成される戦略は、創発戦略と呼ばれる。

 (略)

 新たな方向性を追求するという明示的決定を下したとき、創発的戦略が新たな意図的戦略になった。

 だが話はそこで終わらない。その後も同じ戦略形成プロセスが、こうしたステップを通じて何度も繰り返され、戦略を変化させていく。別の言い方をすれば、戦略は一度限りの分析会議で決定されるようなものではない。たとえば上層部の会議で、その時点で得られる最良のデータや分析をもとに決定されるのではない。むしろそれは持続的で、多様で、無秩序なプロセスなのだ。

 

 目標と現状の一致を確認せよ、と言うところから、さらに一歩、踏み込んで、遠い目標として掲げた山の頂すらも目標として適切なのかを疑え、ということだし、そもそも山の頂が見つからなくても、歩き始めた方がよい、とすら言う。

 あるいは、この前の段階で「正しい動機付け」について語っており、究極的な目標となる山の頂(本当に自分が満足できる幸福の条件)は定めた上で、(そこへ至るための手段である)途中の工場の煙突を常にそれでよいのか確認、修正せよ、と言うことかもしれません。

 

 あと、最近、読んだ話では筆者の木下さん自身がtwitterで再掲していた2015年7月のこの記事も似たような話かもしれません。

 

toyokeizai.net

 

 目的と手段の混同。プロセスを遵守した結果としての目的からの逸脱。

 

 過去に成功した戦略ですらも時代の中で失敗の原因となりうるのに、そもそも成功を約束されていない戦略に拘泥する人たち。

 

 ナントカの1つ覚えと言われないよう、精進してまいりたい。

 

 最後のこの一文も中々、シビレますね。

 

 今、地方に必要なのは過去の常識と真面目さを単に引き継ぐことではありません。単なる派手なワンマン改革者による一過性の変化でもありません。過去にとらわない、新たな時代に則した「常識」を作り出し、しっかり成果を出す「真面目」さを確立すること、これが地方に求められているのです。

 

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イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

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*1:とか言って、すみません、すみません、「~ライフ」より先に買ってあるのに、まだ読んでません