Beerhouse3営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋はじめました

なんでビール屋をやろうと思ったんですか?

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 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか開業いたしました店主いけのです。

 

 ゴールデンウィーク以降、「はじめまして」のお客様に多数、お越しいただき、お話をさせていただいている中で、「そういえば、その話はブログにまだ書いてなかった」という話題が、いくつか。

 

 そのうちの1つが、なんでビール屋をやろうと思ったのか。

 

 最初に断っておくと、ビール屋をやりたくて、前の仕事を辞めた訳ではないです。単純に、あそこにいても時間の無駄だと思ったので、後のことは考えずに辞めることにして、辞めた後で改めて何をやるか考えて、ビール屋にたどり着いた、というところです。

 もちろん、辞める前にも、しばらくの間、「辞めるかどうか、辞めたら何をするか」を考えた時期はあって、その中の選択肢の1つにビール屋というのはありましたが、最終的にはもう少し具体的な可能性を検証してから辞めるつもりが、突発的に辞めてしまったので。

 

 で、 ビール屋をやろうと思った理由。

 

 大半は、自分がビールを飲みたいから。7割くらい、これ。

 

 しばらく、誰かがやってくれないものかと思っていたのですが、誰もやりそうな気配はないし、女池の「スーパーV」がなくなって以来、店頭で買える店は限られ、通販で買うのは(受け取りやら何やらが)面倒だし、東京や新潟までわざわざ飲みに行くのも面倒だし、交通費や拘束時間もバカにならない。

 

 なので、三条で、歩いて行ける範囲内で、ビールが飲める場所が欲しい。

 

 以上。 

 

 以下、余談ですが、残り3割について。 

 

 1つには、趣味で飲んでいた時代にも、クラフトビールのイベントであったり、クラフトビールが飲める店には、周囲の人間を誘って出かけたりしていたのですが、せっかくなので、自分以外の人にもクラフトビールを飲む機会を提供できれば、とも思っています。

 たとえば、ヘヴィメタルとか、自分の趣味が周囲の支持を得られるとは、あまり思っていませんが、飲食に関することなら、そうそう趣味の違いはないのではないか、と。

 特に、元々、ビールがそんなに好きではない人たちに、ビールの世界に触れていただく機会は提供してまいりたい。

 

beerhousecubed.hatenablog.com

 

 2番目。

 街なかには飲食店が必要だと思うんですよ。それも、ある程度、まとまった数の。

 

 そもそも、都市、街とは何なのか。

 ある程度、まとまった距離の中で、ある程度まとまった数の人間が住んでいて、それらの人と人が出会う場所、それが都市の機能と考える訳です。

 人と人とが出会う場所、とかいうフレーズが、あまりにもポエティックで気持ち悪いなら、「人」じゃなくて、「アイディア」とか「情報」と置き換えてもよいですが。

 でも、新しいアイディアを生み出し、磨きをかけ、持ち運ぶのは結局、人間なので。

 

 この辺は、そのうち、ジェイン・ジェイコブス、レイ・オルテンバーグ、リチャード・フロリダ、エドワード・グレイザーあたりを引いて詳しく書くかもしれません。

  

 とりあえず、重要なことには、個別のアイディアを進化させるには一人で磨きをかけるよりも、自分とは少し違う考え方の人間とアイディアを交換しあった方がよい。 

 では、磨きをかける人間を、ある特定のアイディアに響く人間をどうやって見つけるのか。

 そもそも、学校を卒業した人間が、職場以外のどこで新しい知り合いと出会うのか。

 特に、共通の趣味を持つどころか、むしろ、自分と違う価値観を持っていて、だからこそ自分の考えを広げてくれる人間と。とは言え、話し合いが成立するくらいには似通った感性を持つ、という距離感で。

 

 もちろん、異業種や同業種の経営者団体、スポーツをはじめとする趣味のサークル活動といったものも、自分と違う立場の人間と出会う機会になるだろうとは思います。

 それでも、もう少し、気軽な交流の場として、飲食店にできることがあるのではないか。

 

 少し話してみて、面白そうならそのまま話し続ければよいし、ちょっと合わなそうなら、その場だけお茶を濁して連絡先も交換せずに立ち去ればよい。あるいは、気が付かないふりをして、自分の世界に戻ることもできる。

 できれば家から歩いて行ける範囲内に複数店舗があれば、「ハズレ」を引いたときにも他の店に逃げ込める。

 

 この点については、単なる偶然性に期待するだけでなく、もう少し意味のある場とするためには、カウンター内から店の空気を支配する店主の力量が試されるところではありますが、精々、精進してまいりたい。

 

beerhousecubed.hatenablog.com

 

 3つめ。

 三条市で新規創業の可能性を追求してみたい。

 

 正直、他の街のことはよくわかりませんが、三条市のポテンシャルはどこにあるかと言えば、ヘンな人が多いところだと思うのです。

 なぜ、ヘンな人が多いからと言ったら、ヘンな人をある程度、許容する街だからで、なぜなら、1642年の三条城廃城後の約400年間、三条は町人、つまり個人事業主が多数派の街で、他人の顔色伺ってる前に、自分の判断で意思決定をしなくちゃいけないから。そして、自分の価値観とは違う、おかしな人を見かけても、敢えて潰さなくても、そいつが間違っているなら、勝手に市場の中で消えてゆくから。あるいは消えるのは自分かもしれないけれど。

 いや、実際、噂好きで他人を貶める発言をする人とかも、もちろん、いますよ。でも、言われても言わせておく人や、肩を持つ人も一定の割合でいる。

 

 ただ、戦後の経済成長期を終えて、市内企業も大規模化しつつあり、個人事業主は減っている。そして高度経済成長やバブルに乗れた戦前、団塊世代に比べて、新規創業は難しくなり、多くの経営者が2代目、3代目となってきている。

 もちろん、親から会社を受け継いで、時代に合った形に転換させようと才覚を発揮している2代目、3代目、そしてマスオさんも、いっぱい見てきていますが。

 

 ただ、親や、奥さんの親が社長じゃないと社長になれない、という世の中では、やっぱり、ヘンな人の多さを、多様性を伸ばす、という意味では、よくないのではないか。

 自分の意思で事業をやってみたい、と思った人が、事業化できる街であった方がよい。

 

 それには、まず自分で事業を起こしてみた方が説得力があるんじゃないかと。仮に失敗に終わったとしても、何が大変で、どういう支援が必要かも見えてくるだろうし。

 

 で、新規事業の中で、なぜ、飲食なのか。

 自分にITとかデザインとかの特別な才覚があれば、そういう方面で起業したのかもしれませんが、飲食業というのは、内装とか厨房設備とかにそれなりの初期投資が必要になるけれども、基本的に毎日の現金商売なので*1、成功でも失敗でも結果が出るのが早いから、まあ、初めて事業をやってみる、という分野としては悪くない。

 しかも、上に書いたとおり、人が集まり、アイディアが集まる場所を目指しているので、そこで飲食であれ、他の事業であれ、次の展開にもつながる可能性もある。

 

 面白いことをやるのに、経営者じゃなきゃいけないのか?

 

 そういう疑問は確かに自分も持っていて、身分がサラリーマンのままでも、ボランティアや趣味のサークル、NPO活動なんかで事業を起こすことはできるだろうし、そういう分野に嗜好や能力が向いている人がいて、何か手伝えることがあるなら、という思いもあります。

 ただ、注げる時間とエネルギーを考えたら、そこで収益を発生させて企業体としてやった方が、効率よく事業展開できるのではないか、とも思います。

 まあ、早まる必要はなくて、まずは、どういう事業を構想するのか、そのための必要資金は十分か、兼業できないのか、など飛び出す前に、色々な可能性は探った方がよいと思いますが。

 自分の場合は、単に前職が嫌で辞めただけなので、再就職するより自分で事業を起こした方が早かったし、どのみち前職では兼業は規制されていた、というのも、ありますので。

 

 基本的には、ビール屋を始めた理由としては、そんなところです。

*1:総資本回転率が高いっつうんですか?