Beerhouse3営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋はじめました

夢を形にすることについて

f:id:bh3master:20160701152608j:plain

日が昇る(工場)|フリー写真素材・無料ダウンロード-ぱくたそ

 

 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。

 

 これから書く話は、どうやって夢を実現するかって話ではありません。

 その前提として、寝ている間に見るようなぼんやり、漠然とした夢ではなく、実現に向かうための明確なヴィジョンとして、しっかりと輪郭を持った夢を持っているかどうか、という話。

 

  話は、遡ること5年前、2011年。当時、三条市役所の商工課で、いけのは奈良県の中川政七商店・中川社長による勉強会開催を担当しておりました。

 三条市の伝統的工芸品である鍛冶、刃物などの金属製品を産業として継続していくために、タダフサさんをサンプルとして事業経営を考える、というものです。

 

www.yu-nakagawa.co.jp

www.tadafusa.com

 

 その際の具体的な取組については、中川さんの著書にまとめられておりますので、ぜひ。 

 

老舗を再生させた十三代が どうしても伝えたい 小さな会社の生きる道

老舗を再生させた十三代が どうしても伝えたい 小さな会社の生きる道

 

 

 さて、タダフサさんは現社長への事業継承など、ちょうど変革期にあったこともあり、中川さんとの取組を噂話*1で聞いた関係者の皆さんから、タダフサは大丈夫なのか? というご心配の声を、いけのも当時、たびたび耳にしておりました。

 

 そんな中、ある休日、担当施設に顔を出したとき、偶然、業界の重鎮の方とお会いしました。

 業界全体の活性化には並々ならぬ熱意をお持ちの方で、いけのが入庁した頃には、市の事業とは一線を引いて、あまり顔を出さないようにしておられましたが、ときどきお会いしたときには、事業のあるべき姿、留意事項など、色々とアドバイスをいただいておりました。

 以下、ご本人に断って書いている訳ではないので、なるべくボカして。

 

 「いけのくん、聞いてるかね、タダフサのこと?」

 

 (聞いてるも何もその事業も担当していますが…)

 

 「みんな、心配しているよ。奈良からヘンなコンサルみたいなのが来て掻き回してるんじゃないかと」

 

 (ヘンなコンサルみたいなの、ではなく、だいぶマトモだと思いますが…)

 

 「経営って、どういうことだと思うね?」

 

 とおっしゃられてから、その社長さんは、ご自身の経営論を教えてくださいました。

 

 曰く、まだ若く、社長就任以前、単純な事務的な手違いで、1件の手形が落ちない危険が生じた。気が付いた時点で、色々な銀行を回って、短期の融資を申し込むなど、手を尽くしたが、対応してくれるところはなく、結局、その手形は不渡りになってしまったそう。

 たった1件、少額とは言え、不渡りは不渡り。

 先方をはじめ、取引先すべてにあいさつ回りをして、何とか事業を続けていけることになり、一息ついたときに、今後、会社をどうしていくのか改めて考えたそうです。もう畳んでしまった方がよいのか。やる意味はあるのか。やるためには何をしなければいけないのか。

 

 1つは、銀行はいざというときには冷たい、ということを肝に銘じ、会社の経理を社員や税理士任せにせず、しっかりと自分で把握し、銀行に頼らなくても経営できる体制をつくること。以前から「うちは無借金経営」というお話は聞いていましたが、その裏にはそういう背景があったそうです。

 

 そして、もう1つ。自分がこの会社を将来、どうしていきたいのかを考え抜いた結果を忘れないように、何枚かにわたって紙に書き留めた、とのこと。

 

 「まあ、『夢』らこって」

 

 その「夢」を書いた紙は、神棚に納め、何十年か経った今でも時々、何か経営上の判断で迷ったときや、何かの節目ごとに読み直して、今、自分がやろうとしていることは正しいのかどうか、自分の会社が進むべき指針としている、とのこと。

 

 「みんな心配してるっけ、よう見ててやってくれ」

 

 と言われて社長さんは帰っていかれましたが、その時点で、いけのは全く心配していませんでした。

 なぜなら、前掲の中川さんの著作を読んでいただけば分かるとおり、中川さんとタダフサさんの事業の根幹にあるのは、全く同じ話だと思ったからです。

 経営状況を数字で把握すること、自分がやりたいことを明らかにした上で判断基準とすること。

 

 当時の中川さんとの事業については勉強会をするなら、わざわざ奈良から連れてこなくても、スノーピークの山井さんをはじめ、三条市内には立派な経営者はいくらでもいる、というご意見も各方面からいただいていておりました。

 

business.nikkeibp.co.jp

 

 ただ、偉大なる大先輩では恐縮してしまうのに対して比較的年齢が近いという点と、体系立てて分かりやすく分析し、解説できる能力、という点では中川さんで良かったんではないかなぁ、と当時から思っていた次第です。

 

 もちろん、三条市内に優れた経営者が多数いらっしゃるのも、また事実。

 そういう経営者の皆さんが夜な夜な集まり、さまざまな智慧を集積できる場所となるよう精進してまいりたい。

 いや、実際、その社長さんも1度、顔を出してくださってんですが、相変わらず話は面白いんですよねぇ。

 

※この記事は、当該社長さんや関係者の方には本当に何の断りもなく書いているので、ある日突然、消すかもしれません。

*1:基本的に三条の人って話を盛る、というかアバウトに伝聞するので、だいたい炎上気味に話が拡大していきますよね