どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
こないだの「ポケモンGO」の話の続きです。
前職での仕事の絡みから、「ポケモンGO」が背負う、人を街の中に連れ出して歩かせる、という試みに感心していたのですが、関連記事をいくつか読んでいたら、「ポケモン」というキャラクターや世界観自体は任天堂のものなのだけど、このゲーム開発の主導権を握っていたのは、「イングレス(Ingress)」のナイアンティック社なのだなぁ、と。
ナイアンティック社についておさらい。
社長のジョン・ハンケは、後にグーグル・アースとなる地図ソフトを開発するベンチャーを経営していた人。会社ごとグーグルに買収されて、グーグルの地図系開発全般を担当。
そして、その地図技術を活かして実際に街の中を歩き回るゲーム「イングレス」をグーグルの社内ベンチャーとして2012年にリリース。その後、グーグルや任天堂の出資を受けて昨年、独立。
グーグル・アメリカ法人の川島さんという方が、ジョン・ハンケの右腕として設立初期から行動を共にされており、イングレス関係の日本向けメディア対応は川島さんが積極的に受けてこられたようです。
それらの記事で語られる、イングレスが目指してきたものが、大変、素晴らしい。
(ナイアンティック加入時のエピソードの中で)
ジョン・ハンケが言ったことで印象に残っているのは、「世界を変えるためにはどうしたらいいか」ということです。(略)
ジョン・ハンケはですね、そこをバッサリと断ち切ってくれた。「私は、世界をよくするためには、人が外に出ればいいと思う。もっと外に出て、動いて、人同士でつながったり、身の回りに何があるのかをよく知ること。まず、それが行われることで、世界は変わるんだ」と。
(日本でイングレスが受け入れられた背景について)
日本は歴史がすごく深いじゃないですか、おもしろいものがたくさんありますよね。Ingressの特徴は身の周りの、今までは全然見てなかったようなもの、普通に通勤・通学していたら全然目に入らないようなものが発見できてしまうところにあります。
(外に出ることの重要性について)
いろいろなところに行くと、それだけで創造性が生まれるじゃないですか。(略)Ingressの世界では外に出て歩くことで、いろんなものを発見したり、至近距離で出会ったりすることで、脳が刺激される、そういう効果があるのかなと思うんですよ。
ジョンと話していて思ったのは、「人は外に出れば変わるんだ」っていうのが、シンプルで分かりやすい方法だなということですね。ジョンは今もそれを目指して作っていますよ。
外に出ていろんな人と交流したり、出会ったり、今まで見てこなかったもの、街の中に隠されたものを見たりすることで、実際に行動が変わっています。Ingressのために一駅前で降りて帰るようになった、なんていう人はたくさんいますね。
(オリジナルの記事は、最後にまとめて掲載しております)
この辺の話は、本当に高齢者の健康施策以上の、若年層も含めた、今後の地方都市のあり方、東京のような大都市よりも地方都市が優位に立てる可能性として、一人の市民として今後も考えていきたい点であります。
というか、一応、元々、それを目指している店なんですよ、という当店の立ち位置については、この辺の記事で。
という訳で、ルネサンス期のフィレンツェでメディチ家が果たした役割を現代でいかに実現させるか、というこちらの本も先日、発注していたところ。
アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する「メディチ・エフェクト」の起こし方
- 作者: フランス・ヨハンソン
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2014/09/24
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たまってる本の順番からして、いつ読めるかはアレですが…。
もちろん、「イングレス」の存在は数年前から知っていましたが、実際にインストールしてやってみよう、とは思うに至っていませんでした。
今回、自分がやってみようと思ったのは、「ポケモン」の力です。ポケモンそのものへの個人的な興味は大したことはないのですが、ポケモンが多くの人を動かし、ポケモンに興味がない自分のような人間までも動かして社会現象を巻き起こした、という意味で、キャラクターの力は偉大です。
ナイアンティック社は、これでいわゆる「キャズム」を超えたのでしょうし、それは「ポケモン」があったからこそ、と思われます。
キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論
- 作者: ジェフリー・ムーア,川又政治
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2014/10/04
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もちろん、今回、任天堂の株価が急騰したことについて、任天堂の力でもないし、利益もほとんど取れない、といった指摘も見かけておりますし、次は、任天堂さんが、「マリオ」、「ポケモン」に続く新しいキャラクターを生み出せるだけの新しいゲームで成功されることを祈るところではありますが。
最後に再び川島さんのインタビュー。
ナイアンティックでは人を外に出す、新しい物を発見する、というミッションを掲げています。「Pokémon GO」に期待しているのは、Ingressがこれまで辿ってきたそうした効果、ストーリーをより広い人達に味わっていただけるようにする、というもので、実際にそうなりつつあります。
外を歩いて、自分たちが申請したポータルから、より安全性の高いものが「Pokémon GO」に利用されています。「わしが育てた」じゃないですけど(笑)、Ingressのエージェントのみなさんは、自分たちが作り上げたものが「Pokémon GO」に繋がっているのだと思ってもらいたいです。「Pokémon GO」ではポケストップと呼ばれる場所から発生しているものは、Ingressにおける「エキゾチックマター(XM)」と変わりませんので、それを感じ取って、ポケモンマスターからエージェントになる人もたくさんいるんじゃないかなと思います。
という訳で、「ポケモン」の世界観は「キャズム」を超えるマジョリティ向けの要素が強いため、日陰に生きる者の道として「イングレス」インストールしてみました!
よろしく、お願いします。
以下、関連記事です。
[Pokémon GO、Ingressのナイアンティック川島氏に聞く] 1万5000人規模のAEGIS-NOVA TOKYO開催直前、Pokémon GOの日本での提供は - ケータイ Watch