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Beerhouse3営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋はじめました

すごい色のタンブラーを見かけた…と思ったら隣町で作ってた

伝統文化と技術革新 ものづくり

 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。

 

http://cf.xonline.jp/resource/img/pc/project/599/7573_37da1b391eb6da5d561def5477a5439b1d4777bb.jpg

※画像は下記公式サイトへの直リンクとなっております。

 

 こないだネットで画像を見かけて、世の中にはすごい色のタンブラーがあるものだ …と思ったら、製造元は、隣町でした。いや、見かけた瞬間、なんとなく、予想はできたけど。

  商品詳細は、こちらの公式から。

 

cf.xonline.jp

 

 で、思いついたのは

 (1)すごい色のタンブラーを見かけた

 (2)作ってるのは隣町のあそこかー

 (3)けど、今までのタンブラーの中では世界観と一番マッチしてるかもなー

 (4)にしても、高ぇ…。買う人、すげーな

の4点くらいで、TwitterなりFacebookなりでつぶやいて終わり、記事にするほどの感想でもないのですが、以下、このどうでもいい感想を、一応、記事っぽくマトメると、どのくらい記事っぽい見栄えになるか、というテスト。

 

■チタンの発色についての技術寄りの話

 当店のある三条市と隣町の燕市は、金属加工工場が集まる地帯なのですが、歴史的背景*1から若干、得意分野が異なりまして、チタンみたいな「非鉄金属」ってジャンルだと燕市の方が得意な企業さんが多い感じでございます。

 で、チタンの加工、陽極酸化被膜による発色については、このタンブラーをつくってるホリエさん、という会社は、燕市の業界内でも超有名。

 

 …と書いてみて、チタンによる陽極酸化被膜による発色って、どのくらいメジャーな技術なんでしょう?

 

 シャボン玉とか、ごく薄い透明の膜に光が当たると、一部の光が膜を透過・吸収され、一部が反射して虹色に光る訳ですが*2、あれをシャボン玉みたいな不安定な膜ではなく、均一の厚さにしてやれば、特定の波長(色)の光だけが反射して、一定の色に見える…って、説明で、理系以外の人にも伝わりますかね?

 で、一定の厚さの透明膜を作る方法として、チタンの表面に酸化膜(透明なサビですね)を、電気を流してやることで作り出すのが、陽極酸化被膜。

 …って、説明で多分、合ってると思います。多分。

 詳細は、ホリエさんのHPに。

 

HORIE Corporation_What's Titanium / チタンについて

 

 ホリエさんのHPを見る限り、電気の流し方で膜の厚さを調整して、赤から紫までどんな色でも出せるみたいですし、1つの製品上で何色かを同時に発色させることもできるみたいです。

 

■新技術の用途と市場性について

 ところが、チタンの発色は、どんな色でも出せるとは言え、元が金属なので、どうしても光沢がついてしまう模様*3

 なので、個人的な趣味で申し上げれば、金属光沢特有の質感について、ちょっと自分が使いたいタイプの器ではないなー、と感じるものが今まで多かったところ*4

 

 それが上記のエルフ(?)っぽいデザインに仕上げたヤツは、光沢のある薄いブルーが、世界観と比較的、調和しているのではないか、と思った次第。

 もちろん、アニメ関連グッズの世界は、マニアの皆さんからの要求も高いのだろうし、しっかりマニアの皆さんの要求に応えられるレベルでの細かい調整とかは必要で、門外漢が安易に手を出すべき領域ではないんだろう、という印象もありますが。

 

 このチタン発色のように、他に真似されにくいような、特定の加工技術を持っていたとして、それをどういう商品、どういうターゲットに向けて売っていくと、効果が最大化されるのか

 …って表現がカドがあるようなら、どういうお客さんに対して使うと一番喜んでもらえるのか、ってのは中々、難しいところですよね。

 

 1個1万円弱って値段も、タンブラーとしては正気とは思えませんが、これはこのプロジェクトだから特別に高いというわけではなくて、おそらくは発色加工に加え、チタン素材そのものの原材料費や、真空2重構造のための加工技術も含めて、普通に作ってもそのくらいの値段はするんだろうと思います。ホリエさんのオリジナル商品を見た感じでも、そんなですし。

 

 で、普通、製造コストから逆算して1個1万円で売らないと儲からない商品、とかなると、富裕層向け、シニア向けみたいなラグジュアリー志向になりがちですが、確かにアニメに限らず、マニア向け市場というのは、1個1万円くらいのものでも、ある程度の数は出る気がします。

 たとえば、自分の場合、好きなバンドとかのノベルティだったら、1万円…はなくても、数千円レベル、普通のタンブラーの何倍かの値段であれば購入検討の余地はあるかな、と。

 

 とは言え、先述のとおり、マニア向け市場だと、ディテールの要求度が高い上に、そう大きい市場でもないし、それでも1万円はやっぱり高いよってこともあって、1アイテムあたりどのくらいのロットが出るかっていうと、そう簡単な世界じゃないんでしょうが。

 

 このプロジェクトは、実現のための最低数量が25個、8月31日時点で約50個が受注済。

 50個売って約50万円の売上。

 いや、原画作成から製品落とし込みまでの各種の調整であったり、販売管理の手間を考えると、50万円で実際、ホリエさん、企画元と版権元、それぞれどのくらいの利益があるんだろう、とか考えてしまいますが。

 ホリエさん自体は、量産可能なベースとなるタンブラーがある訳だし、企画元もある程度、バリエーション展開はしているようなので、全体のロットとしては、もう少し大きいのかもしれませんが。

 

■(蛇足的に)当店での導入可能性について

 ちなみにオープン前後から当店でビールサーブするのに、ホリエさんの製品はじめ、燕のタンブラー(チタンの他、銅、ステンレス等)使わないんですか、とかたまに聞かれるんですが、今のところ、使う予定はありません。

 

 19世紀後半にビール≒ペールラガーが大衆酒として爆発的に世界に広がっていった背景には、ガラスの量産化って事情も多少は関係しているようで、それまでは、陶器や動物の骨角器と並んで、金属製の器も一般的だったのかなー、とも思うんですけれども、逆に言えば、現代のビール、特にクラフトビールの場合は、ガラスの器で視覚的にも楽しむ、ってのも結構、重要な要素だと思うんですよね。

 まあ、機会があれば、一度、金属器で飲むってのも試してみたいところではありますが(金属の種類や表面仕上げの差を含めて)。

 

 …と書きながら、実は来週、お手伝いにうかがう予定の、こちらのイベント、初日9日(金)の関係者向けレセプションでは一部、銅器でビールを飲めるらしいんですけどね。

real.tsite.jp

*1:信濃川右岸(東側)にあるのが三条市で旧南蒲原郡信濃川左岸(西側)にあるのが燕市で旧西蒲原郡、と江戸時代以降、信濃川架橋までは違う文化圏。方言も微妙に違う

*2:正確には膜の上面と下面で跳ね返ったヤツが合成されるんでしたっけ?

*3:膜を作る前や作った後の表面仕上げ、膜の作り方とかである程度マットにはできそうですが

*4:根本的に無彩色好きなせいかもしれませんが