どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
正式タイトル、長ぇよ…
10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか
- 作者: ジョン・スヴィオクラ,ミッチ・コーエン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Amazonでは略されていますが、実際には画像のとおり、このタイトルの前に「PwC公式調査でわかった」まで付されています。
と言うか、世間一般に、PwCってどのくらい知られてるんでしょう? ビリオネアの態度に関心があるような意識が高い人は知ってて当然、て感じなんですかね?
ともあれ、プライスウォーターハウスクーパース社が、フォーブズ長者番付から、「ビリオネア」 ≒ 10億ドル(≒1,000億円*1)以上の資産を、相続や結婚ではなく、自分の会社経営を通じて手に入れた人、600人のうち、120人に調査をし、その共通点を探る、という本。
オビにも書かれているとおり、成功した起業家のイメージ、つまり、「これまでにない市場を開拓し、一夜にして成功した若きIT長者」、とは少し異なる成功者の姿を丹念に追ったもの。
ビリオネアは、比較的、長期間の努力により、既存産業の中で、ある程度の経験を積んだ後に成功した人が多いことを示し、それらの成功者の共通項は、「内面(マインド)」にあり、それも生得的なものではなく、ある程度は修練可能だとして、読者に勇気を与える。
その内面とは、イノヴェイティヴな発想、そしてただ考えるだけではなく、実際にリスクを取って実行に移す行動力、という点では、先日のフランス・ヨハンソンの著作とも共通項が多いように思える。
ただ、読んでいて、どうしても違和感を覚えるのは、努力すれば、あなたも成功できるかもしれない、というストーリーについて、欧米のプロテスタント的な、目の前の困難は神に与えられた試練であり、それを克服したものだけが神に愛される(神に愛されているのだから必ず克服できるはずで、逃げ出せば地獄に落ちる)といった思想に聞こえてしまう。
これは結局、生存者バイアスではないのか。
成功した人は皆、それをやっているかもしれない。
しかし、それをやった人皆が成功したとは限らない。
同じことをやって成功した人と、そうでない人が、きっといる。
結局、成功と通常の人生(あるいは転落)を分けるものは、もっと違うところ(たとえば、単なる運)にあるのではないだろうか。
ビリオネアたちも才能だけで成功したわけではなく、(略)もちろん才能があるにこしたことはないが、けっしてそれがすべてではない。誰もが練習すればビリオネア・マインドはある程度は身につけられる。(略)
マラソンのランナーのことを考えてみてほしい。どんなに才能や体格に恵まれた人でも、初めからプロと並んでフルマラソンを完走できるわけではない。一方、とりたてて才能はなくても、人並みの体力がある人なら練習によってなんとか完走できるようにはなる。たとえ結果的には完走できなかったとしても、身体的・精神的に大きな向上が見られることはまちがいない。
ビリオネアのマインドを習得するのも同じことだ。誰もがビリオネアになれるとはかぎらない。それでも、正しい努力を続ければ、今よりずっとビリオネアに近づける。
この主張が本書のすべてであるように思う。努力をしなければ成功できない、努力をしても成功できるとは限らない、しかし成功できなくても得るものがあるはずだ。
本当に得るものなど、あるのだろうか?
成功できなかったときに得られるものとは一体、何だろうか?
あるいは、その状態で、自分は何かを得た、と思えるような心理に至れるのだろうか。
個人的には、成功できそうかどうか、といった基準よりも、ただ自分がそれをやりたいかやりたくないか、やることで将来の自分に何かを期待できるかできないか、といった基準で物事に取り組むべきではないか、との印象が強く残った。
そうすれば、成功できなくとも、少なくとも自分は自分の信じたとおりに、やりたいことをやった、という満足感は得られるだろうから。
*1:こういうときに為替レートは特に意味がなく、1ドル=100円換算で問題ないと思います