どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
11月5日(土)6日(日)と、店舗のほうはお休みをいただきまして、Slipknot主催フェス、KnotFest Japan 2016の「視察」に行ってまいりましたので、そのご報告をば。
何といっても、客層が若い! 前回、Loud Parkに行ったときには客層のあまりの高齢化に驚いていたので、その落差が新鮮でした。
もちろん、それはSlipknotが主催でヘッドライナー、ということで、1999年デビューの彼らのキャリアを考えれば、当時リアルタイムで聴いてた人たちでも年齢的に今40才前後が上限で、それより年長の人たちは少数派、という理由はあると思います。
出演者も、Slipknotよりやや先輩のマリリン・マンソンやDeftonesでも数年の差で、Loud Parkで中心を占めた「ベテラン」と言えるのは、Anthraxくらいで1981年結成、84年アルバムデビュー。70年代から活動するバンドは皆無。
そして賛否両論あるのでしょうが、半分を日本のバンドが占めたことで、普段、海外バンドをあまり聞かないような(≒国内バンドのTシャツを着ている)本当に若い層が、女性を含めて多く来ている、という事実。
国内バンドが多いことの「否」は、もちろん、うちらくらいの世代だと、洋楽と邦楽を分けて考えがちだし、邦楽バンドに興味がない、という現実はあると思います。特に自分も含めて楽器をやっていない人間は、身近なライヴシーンとの接点もないので、日本人がやるヘヴィミュージックに違和感があったりもします。正直な話。
でも、ここ何年か、OzzFestとKnotFestで、あと、たまにサマソニで日本のバンドを見ていて思うのは、音楽的には、メロディックデスメタルやミクスチャーの登場から20年が経って、それらの要素を当たり前にこなしている日本の若いバンドがいかに多いか、ということです。
もちろん、個人的にはバンドブームの時代から、ステージ上での立ち居振る舞いに違和感を覚える、というのが日本のバンドが苦手な理由で、そういう思いを新たにするバンドというのも依然一定の割合で存在しますが。
KnotFestとOzzFestの関係性がイマイチ不明瞭なのですが、少なくともOzzFestはそれを狙ったフェスのハズであり、そこは尊重すべきではないのか、と思います。あるいは、KnotFestでも、日本版OzzFestでも新旧双方のファンにそこはもっと丁寧にメッセージを発する必要があるのだろうとも思います。
つまり、1992年にNirvanaの「ネヴァーマインド」がリリースされ、一気にヘヴィメタルが「ダサい」音楽になった後、オジー・オズボーン時代のBlack Sabbathだけは暗く引きずるような音楽性から若いバンド、そのリスナーにも支持され、オジーもその人気を背景に引き続き地位を保った。そもそもがオジー・オズボーンはランディ・ローズやザック・ワイルドといった若くてスター性のあるミュージシャンを発掘して彼らに脚光を当てながら若いファンを掘り起こしてきたミュージシャンでもある訳です。
したがって、オルタナ系のフェスであるロラパルーザへの出演を打診して断られたのを契機に企画されたオズフェストも、オジーを敬愛する若手バンドを多数従えることで、直接オジーを知らないような、その若手バンドの若いファンを集めて、彼らにオジーの存在を知らしめる(あるいは逆に若手バンドにオールドファンの前で演奏する機会を与え、若手バンドを認知させる)ことを目的としたフェスとしてスタートしたはずです。
日本で今後もメタル系のフェスを開催していくにあたって、一つは今回のLoud Parkのように、メタル全盛期に青春を過ごして人口も厚く、金と時間に余裕のある中年層をターゲットに、懐かしいバンドを集めることで集客、売上、運営利益を確保する、というのも1つの手法でしょう。
しかし、個人的には、それに未来があるのか、と前回書いたように思ってしまうのです。
もう1つの手法がOzzFest、KnotFestのように、今の日本の若い子たちに支持されているバンドを集め、彼らにそのバンドのルーツに当たる海外バンド、あるいは同じルーツを持つ海外の若手バンドを知ってもらえるような企画とすることで、単独での来日公演が難しいようなマニアックな海外バンドを呼ぶ機会とする、ということになるのではないでしょうか。
少なくとも、1、2曲聞いてもやっぱり興味が持てないバンドの出演時間は、ちょうどいい休憩時間になっていいんじゃないか、と思うんですけどね。
オープニングからトリまで、行きつく暇もない、全部、見逃せないってフェスは、贅沢な話ではありますが。