Beerhouse³ 営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋やってます

【結果報告】どのノンアルビールが一番うまいか選手権

 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。

 

 先日、ふとした思い付きでノンアルコールビールの飲み比べを企画させていただきまして。

 

beerhousecubed.hatenablog.com

 

 その結果報告です。

 結論から申し上げますと、

 

 「いや、ジンジャーエール、うめぇな、おい」

 

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 ってことで、終わらせると、各方面からお叱りを受けそうなので、一応、以下、もう少し詳細に。

 

ノンアルコールビールの製法

 全体的な話の前に、そもそもノンアルコールビールをどうやって作るかって話なんですが、Wikipediaおよびそこからタドれる範囲内のネット上の情報で申し上げれば、ざっくり以下のような方法があるみたいです。

 

 ・いったんビール(または、近い液体)を発酵した後でアルコール分を除去する

 ・ビール(または、近い液体)を発酵する際にアルコール量を抑制する

 ・ビールを発酵させる前の麦汁をそれっぽい味に仕上げる

 

 で、日本国内では、飲酒運転や妊婦などへの配慮から、現在では1番目と2番目の低アルコール・タイプは少数派で、今回飲み比べをした大手の4種類は、いずれも発酵させない3番目のタイプ、のようです。まあ、麦汁と呼べる状態まで持っていかないこともあるようですが。

 

ノンアルコールビールの甘み

 さて、よっぽどのビールマニアとかじゃないと、中々、発酵させる前の麦汁って飲む機会が少ないんじゃないかと思いますが、これ、まあ、甘いんですよね。

 なにしろ、アルコール発酵ってのは、グルコースブドウ糖、C6H12O6)を、アルコール(C2H5OH)と二酸化炭素(CO2)に分解する反応ですから。アルコール発酵する前の麦汁は糖分が多くて甘い。

 

 なので、全体的な印象としては、各メーカーさんともビールっぽさ、麦芽感を出しつつ、甘さをどう打ち消すか、って点でご苦労されているんだろうな、という印象でした。

 具体的な製法が分からないので、何ともあれですが、ノンアルコールビールの水っぽさ、と言うのも、この甘みを抑えるために薄めているせいなのかもしれません。あるいは単純にアルコール分がないだけで水っぽく感じてしまうのかもしれませんが。

 

香りはアルコールに溶けやすい

 アルコールの不在、という点では、人間が感じる香りの成分というのは、水よりも油やアルコールに溶けやすい、という性質がありまして。詳しいメカズニムは分子構造の話だった気がしますが、どこで読んだかすら記憶が定かじゃないんですが。

 この点、アルコール分を含まない液体に、発酵臭なり、ホップの香りをつけるのは、難しいんだろうな、というのも全体に共通する感想です。

 いや、普段、ジャパニーズ・ペールラガーに比べたら圧倒的にホップや発酵感のあるビールばっかり飲んでいる、という、こちら側の問題もあるのだとは思いますが。

 

個別の感想

 まず、アサヒのドライゼロ。

 原材料は、「食物繊維、大豆ペプチド、ホップ、香料、酸味料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK)」。

 すごい。麦芽を使ってない。いさぎよい。

 名前やパッケージからしても、スーパードライのノンアル版を目指している様子がうかがえますが、スキっとした無駄のない感じで、スーパードライを愛飲している人には受け入れられそう、と思いました。最近、スーパードライ、飲んでませんが。

 

 次。キリンの新作、ゼロイチ。

 あ、飲んだ&解説の順番は、メーカー名、五十音です。

 原材料は、「麦芽、水あめ、食物繊維、米発酵エキス、ホップ、香料、酸味料、調味料(アミノ酸)、乳化剤」。

 こちらは、対照的に一番搾りのノンアル版を目指したブランド展開で、他2社と比べてもしっかりとした麦芽感とホップの苦みで、キリン一番搾りっぽい感じは、確かにあります。まあ、最後発ゆえの優位さもあるのでしょうが。

 

 3番目、サッポロ、プレミアムアルコールフリー。

 原材料は、「麦芽、ホップ、酵母、酸味料、香料」。原材料だけ見ると、一番、シンプル。乳化剤や酸化防止剤とか、原材料を気にする人には訴える要素なのかもしれません。

 正直、一口目の味としては、一番、ビールに遠い印象でしたが、原材料のシンプルさに由来するのかどうか分かりませんが、時間が経ってきたときの味のバランスの崩れにくさでは一番、安定しているように感じました。

 

 4番目、サントリー、オールフリー。

 原材料は、「麦芽、ホップ、香料、酸味料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、苦味料、甘味料(アセスルファムK)」。

 無難にマトメた印象。ドライゼロ/スーパードライよりはビールっぽさがあり、ゼロイチ/一番搾りよりはスムーズ。

 

まとめ

 このイベントを思い付きで企画したとき、落としどころとしては、

 「名前は、一番うまいか選手権だけど、大手メーカーが責任をもって商品として市場に送り出している以上、どれもうまいのは当然で、あとは好みの問題ですよね」

ってな感じをイメージしていたんですよね。

 

 ところが、今回、改めて4商品を飲み直してみて、元々、ジャパニーズ・ペールラガーにあんまり興味がない自分*1としては、ジャパニーズ・ペールラガーを基準に開発されているノンアルコールビールは、正直、どれも自分の好みとは違うかな、ってところでした。

 

 てことで、世間一般でノンアルコールビールが消費されるシーンが、イマイチ想像できていないのですが、アルコール飲めない状況なら、自分の趣味としては、ジンジャーエール(か、お茶)の方がいいかな、ということになります。

 

 今後とも、よろしくお願いいたします。

*1:元々ビールに全然興味がないところからクラフトビールを飲んで、ビールなのにうまいじゃん!からハマった