どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
今年も10月14日(土)、15日(日)とさいたまスーパーアリーナで開催された「Loud Park 2017」に参加してきました。
ここ数年、ラインナップの高齢化が著しく、つられて来場者も高齢化していて、市場の成長性について疑問を感じていたところですが、まあ、実際に現場に行ってみたら、ちょっと違う視点もあるかな、と思ったのが今年の印象でした。
昨年は、メイン10バンドの平均キャリアが、28年。
それに対して、国内を中心に若手もそろえたノットフェスト/オズフェストの方が、客層も若くて「未来」があるって印象なのが、ここ数年、続いているんですよね。
もちろん、それは、1990年代の後半からメロディック・デスメタルを聴いて、そこから今もメタルコア、エモメタル、スクリーモ、ポストメタルあたりを中心に聴いてる自分の趣味と合わない、という個人的な思いもあるんですが*1。
今年はこのノットフェスト/オズフェスト枠が、Linkin Park単独公演に前座がワンオクロックと決まって(その後、Linkin Parkに不幸があり中止)、夏フェスもメタル色が薄くて見送り、例年以上にLoud Parkに期待していたのです。
が、フタを開けてみれば、結局、1969年デビューのアリス・クーパー、1974年デビューのKissのジーン・シモンズによるソロ・プロジェクト、1974年からUFOで活動し、1980年にMSGを結成したマイケル・シェンカーの回顧プロジェクトと、今まで以上に昔を懐かしむ感じのラインナップに(ラインナップ詳細は後述)。
イギリスのダウンロードや、ドイツのサマー・ブリーズあたりと比べると、もう少しバランスのとりようがあるんじゃないか。
Summer Breeze Open Air - Wikipedia
と、まあ、行く前は思っていた訳です。
で、当日、会場に行ってみて驚いたのは、特に2日目の客層の年齢の高さです。もうなんか、今年40才の自分ですら、若造じゃないか、というくらいの中高年ぶり。
そりゃそうですよね、ジーン・シモンズも、マイケル・シェンカーも自分が生まれる前から第一線で活動してる人たちですから。
それでちょっと考えを入れ替えたのは、これはこれで新しい市場なのかもしれないです。
あの日、会場にいた人たちの大半は、今、どのくらいヘヴィメタルを聴いてるのか、ここ数年でどのくらいフェスに、あるいはライヴ会場に足を運んでいるのか、若いバンドを聴く機会をどのくらい持っているのか。
人口も多く、可処分所得も多く、また洋楽ヘヴィメタルの浸透度も高い世代にアピールする企画は、若い人を相手にやるよりもビジネス的な側面でも確実性が高く、やむをえない、という気持ちは今までもありました。
それに加えて、ちょっと年齢を重ねて音楽との距離が空いてきた人たちを呼び寄せることができたなら、そこから新しい展開もあるのかもしれない、という気もしました。
その意味では、初日のBeyond The Black、2日目のCry Venomも、どちらもベタベタのメロディック・スピード・メタルではありましたが、ちゃんと若いバンドも用意して(高齢者に)紹介する、という点で評価してよさそうです。
あるいは1971年結成Thin Lizzyのリヴァイヴァル・プロジェクトからバンド化して、現役で活動しているBlack Star Ridersとか。
まあ、やはり、もうちょい若いバンドの枠はあってもいいと思いますが。
また、当日、大阪ではBabymetal公演が行われており*2、そこで発表された次回12月広島公演の料金は、一般2万円、未成年2千円、とのこと。
最近のフェスでは、高齢お金持ち向けのVIP枠設置が普及しつつありますが、こういう感じで、お金を持っている大人が払ってくれた入場料で若い人が楽しめるイベントが増えていくのであれば、大人向けのオールドスクールなラインナップのイベントも、一定の価値を認めてもよい、と思った次第です。
最後に、参考までに今年のラインナップは以下のとおり。カッコ内はアルバム・デビュー年。
October 14
Aldious (2010)
Skindred (2002)
Beyond the Black (2015)
L.A.Guns (1988)
Anthem (1985)
Brujeria (1993)
Winger (1988)
Opeth (1995)
Overkill (1985)
Alice Cooper (1969)
Emperor (1994)*3
Slayer (1983)
October 15
Cry Venom (2016)
Black Earth (1996/2016)*4
Outrage (1988)
Apocalyptica (1996) *5
Loudness (1981)
Devin Townsend Project (1995/2009)*6
Black Star Riders (2013)*7
Cradle of Filth (1994)
Meshuggah (1991)
Sabaton (2005)
Gene Simmons Band (1974) *8
Michael Schenker Fest (1980) *9
もちろんBrujeriaとか、20周年企画のEmperor、Black Earth、Apocalypticaとかを見れば、オッサンも懐かしくてテンション上がる部分はあります。それは否定しません。
むしろ、Opeth、Devin Townsend、Cradle of Filth、Meshuggahとかは最近の音源をチェックしてなかったりするんで、古い曲じゃないと分からんし。
とは言え、本当に上のダウンロードやサマーブリーズのラインナップはうらやましいし、あれが日本では実現できないんでしょうかねぇ、とか思う部分も一部にはまだあるんですよねぇ…。
*1:メタルは1990年代前半で一度「終わった」ジャンルなので、それ以前とそれ以降で音楽性、ファン層に大きな分断があります
*2:今や日本で最も動員力のあるメタルバンドであるBabymetalに真裏でイベントをやられるってオーガナイズとしてどうなのよ、という感もありましたが
*3:97年発表2ndの20周年再現セット
*4:96年デビューのArch Enemyの初期メンバーによるリヴァイヴァル・プロジェクト
*5:全曲Metallicaカヴァーのデビュー20周年記念セット
*6:デヴィン・タウンゼンドの活動としては95年開始、プロジェクト名変えつつ09年から現名義
*7:1971年結成83年解散のThin Lizzyが、86年のフィル・ライノットの死後、90年代半ばから断続的に再結成公演を続け、2010年以降のメンバーでのオリジナル曲製作に当たってバンド名を変更したもの
*8:全曲Kissの楽曲での出演のため、Kissとしてのデビュー年
*9:Michael Schenker Groupとして。80年代のMSGの3人のヴォーカルが順に各年代の曲を歌うプロジェクト。アンコールで演奏したUFOへのマイケル・シェンカー加入は1974年