人生の一大事を成し遂げたいと決心したなら、諦めきれない思いがあるとか、気になって忘れられないことがあるだとか言ってないで、そんなことはすべて忘れてしまえ。
「もうすこし、これが終わったら」とか、「これをやり遂げてからでも変わらない」とか、「これは人に馬鹿にされるかも。ちゃんと片づけておかないと」とか、「今までずっと待ってきたんだから、もう少しいいタイミングを待ってみよう。慌てるな」とか言い始めたら、気にすべきことなんて山ほど出てきて、際限がなく、いつまでたっても決心できる日なんかやってこないよ。
だいたい、世間を見てみると、少し賢い人は、みんなこういう風にタイミングを逃して一生を終えてしまう。
近所で火事が起きて逃げるとき、「あとちょっと」とか言うのかね。
助かろうと思ったら、恥も金も捨てて、まずは逃げ出すだろう。
人生がお前を待つと思うなよ。
人生なんて、水や火が攻めてくるよりも速くて、あっという間に過ぎていくのに、その時に、年取った親がいる、かわいい子供がいる、上司への恩がある、他人への情がある、そういうものは確かに捨てがたいかもしれないけど、お前の人生が終わるときには、どうせ捨てることになるんだよ。
…と言うわけで、どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
上の文章は、今から700年くらい前、鎌倉時代の終わりに吉田(または卜部)っておっさんが書いた文章らしいんですけど、ふと思い出したんでメモ。原文は下記リンク先から。59段。
まあ、当時の「大事」ってのは仏門に帰依して出家することを意味したらしいんだけども、現代でも色々と理由をつけて決断を先延ばしにした結果、タイミングを逃す人はいるなあ、と思う次第。
特に、吉田が「少し心あるきは」と言うとおり、ヘタに勉強できる人は、あれこれ可能性を考えてしまうからね。自分を含めてね。