どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか開業いたしました店主いけのです。
店主のいけのがクラフトビールの存在を知って飲むようになったキッカケは、前職の業務として、中小零細企業が大手(や海外製品)との価格競争に巻き込まれずに、独自の価値をどのように発揮していくか、といった仕事をしている中で、エイトブランディングデザインの西澤さんを講師に勉強会を開催し、そこで西澤さんが手掛けられたコエドビールさんの事例を聞いたことから始まります。
その西澤さんの新著、「クリエイティブの使い方」を読みました。
中川淳さんとの共著、「ブランドのそだてかた」と同様、「日経デザイン」誌の連載をまとめなおしたものです。
そして、今回は、さらに誌面掲載に先立って、青山ブックセンターさんで「クリエイティブのABC」と題して実施されたセミナーが大元になっているもの。
実は、このセミナーの存在自体を知っていたのですが、前職にしろ現職にしろ、その間の修業期間にしろ、中々、平日の夜に東京まで聴きに行くというハードルは高く、日経デザインで連載する、と聞いて、後々、また書籍化されるのだろう、と期待していたところ。
それにしても、西澤さん(76年生)を含め、12組13人の登壇者のうち、柴田文江さん、猪子寿之さん(77年生)、谷尻誠さん(74年生)、田川欣哉さん(76年生)、山崎亮さん(73年生)、佐渡島庸平さん、そして山田遊さん(76年生)の回とかは、普通に聴きに行きたいと思ってました。
そして、その他の皆さんも改めて本を読んでみると、色々と示唆に富む活動をされておられ、もう少し話を聞いてみたいところ。
1時間の講演と、1時間30分の対談形式だった、ということなので、随分と削ぎ落しているのだろうな、と。
本を通して感じたことは、クリエイティブ云々とは関係なく、これからの仕事、働き方を考える上で、今、世の中がどういう風に変わっているのかを考えるキッカケになる本なのではないか、ということ。
別に知らなくても食っていくには困らないだろうし、知っていた方が金儲けができるかと言うと、むしろ経済的には困窮する方向に自分を追い込むことになるのかもしれないけれど、まあ、考えていた方が人生、面白いんじゃないだろうか。
特に、田川さんの次のフレーズが象徴的だな、と思いました。
僕は1976年生まれなんですが、この年代はゲームの「ドラゴンクエスト」世代なんです。そこでは1人で戦うのではなく、チームをつくって敵をやっつける。そして「魔法使い」の後に「僧侶」となって「賢者」になるといったジョブチェンジの仕組みがありました。私自身、そうした世代として影響を受けているのかなと思います。
ここだけ切り出しても、特にドラクエ世代じゃない方には全然、何が何やら伝わらないかもしれませんが、自分の得意分野を定め、守備範囲を決めて、足りない能力は他の人に頼って仕事をしながら、徐々に自分の守備範囲を調整していく、と、そんな風に理解をしました。
なお、ドラクエで「勇者」に自分の名前を付ける人の気持ちがよく分からなくて、いけのの場合、自分の職業は「魔法使い」が定番でした。攻撃魔法専門、戦闘力ゼロ、守備・回復魔法知識ナシ、みたいな。ここから「賢者」経由で「遊び人」とかになるのが楽しいんですよねぇ。
もちろん、我々のような40手前のオッサンが感じる、この仕事の仕組みも、今、ハタチくらいのもっと若い方は、もっと自然に、もっと先に進んだ価値観で生きていけるのかもしれません。そこでポケモンとかワンピースとかを例に出されても全然、理解できませんが。
もう一点、印象的だったのは、佐渡島さんの
編集というのが言わば演出の仕方を学ぶことだと思ったのです。
編集とは、僕は情報の順番工学という言い方をします。
という発言。
雑誌編集のスキルを、どのように会社経営、あるいは経営戦略に活かしていくか、といったような話なのですが、これからの時代、企業経営の中で、あるいはどんなレベルの職域であっても、人の心に何らかの印象を植え付ける、という行為はきっと大事なことで、そのときに情報を編集する、演出をする、というスキルをどう活用していくかは、色々と考えさせられるものがありました。
先ほどのジョブチェンジの話ではないですが、情報を編集して紙メディアで伝える、という作業については、当方、「三つ子の魂」的なところがある訳です。
そして、紙とかネットとかいう活字メディアに限らず、より広範な情報伝達手段としてのメディアを考えるにあたり、機械工学的な、全体を部品に分解して組み立て直す、という思考回路を合わせることができるのが、自分の1つの特殊性だと思っているところでもあります。
そういった視点では、嶋浩一郎さんの「ブランドメディアのつくり方」も中々、面白かったです。主に紙とネットの記事と広告を舞台に、広告の出稿が集まるメディアづくり、という話が中心ではありますが。
ブランド「メディア」のつくり方―人が動く ものが売れる編集術
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