Beerhouse³ 営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋やってます

三条市が移住希望1位ってことでテレビ久しぶりに見た

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三条市のマンホール。上下逆だけど…。

 

 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse³」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。

 

 10年前のアナログ停波以来、テレビを持ってないので、まるで見ないんだけれども、地方移住を特集したテレビ番組で三条市が取り上げられたってことで、とりあえずTVer見てみたよ。

 

tver.jp

 

 まあ、結論から言うと、いかにもテレビ向け、つまり、あんま地方移住に興味を持ってないけど、これをキッカケに移住について調べてみる人が増えるといいね、くらいの内容なんかな、と思いました。

 厳しいことを言っておくと、これを見て他市の取組を「ウチでもやってみよう!」と軽いノリで始める自治体とか民間の人は、死なない程度に頑張ってください。

 

以下、もうちょい詳しい感想:

 


1:トラウデン直美かわいい

 あれですよね? お店の店員さんに「環境に配慮した製品ですか?」って訊くことで、ちょい炎上してた人?

 まあ、なんか本質は善良で賢い人なんだろうな、と思いましたし、レポートの雰囲気とかも好感が持てました。

 いかんせん、私がテレビを見ないんで、今後もお目にかかる機会は中々少ないかと思いますけども。

 

 そんな感想が1番かい…。

 

2:本編1.75倍速で見れるのにCM飛ばせないのキツい

 テレビ見なくなった理由の最大が音声メディアは効率が悪い、てことでして、文字の方が早い。紙なら深いとこまで掘れるし、テレビ程度の浅さならネットでよい。

 正直、YouTubeも音楽ビデオ以外、まず見ません。しゃべり系のやつ、見るとしたら、だいたい2倍速で見ます。

 

 で、TVer、とりあえず本編を1.75倍で見れるのはいいんですが(できれば2倍以上で見たいですが)、CMは等速&スキップ不可はキツい。昔のテレビはこうだったよねー、と思いつつ、その生活から離れて10年が経つので。

 

 とは言え、かれこれ20年言われ続けている、ネットの広告モデルのあり方、あるいは広告以外のビジネスモデルのあり方ってのは、まだまだ答えが見えてきませんよね。個別課金、サブスク…何が正解なんでしょうね。


3:三条市1位、関係各位おつかれさまです

 三条市が移住人気1位で紹介される、てことで、ネタ元は秋に出てた面白法人カヤックの移住サイトのヤツかな、と思ったら、そうでした。

prtimes.jp

 

 このサイトで三条市の情報発信を手掛けてる、地域おこし協力隊のファウンディングベースの皆さんとは、まあ、仲良くさせていただいてて、ちょいちょい彼らの工夫については聞いてるので、引き続き、頑張ってください、という感じです。

 三条市がいい面での露出が増えることはいいことだ。

foundingbase.jp

 

 でも、最初に書いた「内容がテレビ的」ってのは、行政や民間の取組として大事なことは、こういう彼らの存在のような情報なのに、あくまで裏方の話として前に出て来ないじゃん、ということです。

 

 水落さんと稲垣くんについても引き続き、頑張ってください、という感じです。

 ちなみに彼を受け入れてる制度面についても、いけのは結構、詳しいんだけど、なんで詳しいかは略歴を見てね。その後、彼を受け入れるまでに、色々と細かい部分は変わったと聞いてるけど、立ち上げた最初の方にはいたので。

 これについても当事者として、そんな簡単な話じゃねーんだよ、感が強い…。

 

beerhousecubed.hatenablog.com

 

4:先生役の木下さん、現場でどんだけカットされてんだ

 先生役で出てた木下斉さんは、商店街活性化的な分野では高校時代から20年くらい活動してて、もう少し広い地域活性化って分野での活動についても10年以上前から存在は知ってて、著作も読んだりしているのだけど*1、番組内ではあんまりクリティカルな発言がなかったですね。

 多分、収録現場では、もっと色々と発言してるんだけど、尺の都合とかでカットされてそうな印象でした。

 ご本人がテレビでは言えない有料解説てのをnoteとvoicyで上げてたんで、後で読むかも。

note.com

 

5:兵庫県豊岡市は結局、演劇での街づくりを続けてるんだ?

 豊岡市さんと三条市とは、水害と地場産業(豊岡の場合はカバン)という共通点がありつつ、前職(上の略歴を見てね)の途中まで仕事での接点がありそうでなかったのが、最後にスマートウェルネスって事業でご一緒させていただいたけど、結局、出張する機会はなく。

 新潟もそうですけど、日本海側の街は、明治以降、鉄道の普及と重厚長大産業の伸長で、中々、苦しい部分が多いですよね。

 この、明治以降、取り残された地域で出張に行きづらいってのは、この後の話の伏線でもあります!

 

 それでも豊岡の場合、志賀直哉の「城崎にて」と温泉、カニだけで十分、ブランドとして強い気もするけど。

 

 

 で、なんか、豊岡市の紹介の仕方が演劇中心だったのは意外でした。

 前市長が平田オリザを連れて来て演劇による活性化を進めて来たけど、前回の市長選でそこが争点になって演劇推進は一旦見直し中、ってニュースを見ていたので。

 いや、選挙後に見たニュース記事でも、新市長さんは演劇そのものに反対ではなくて、演劇の活用方法を見直す、みたいな話だった気もしましたけど。

 

6:千葉県流山市は大前提として、つくばエクスプレス

 番組では子育て支援に力を入れた結果、子育て世代が集まってます!って切り口で、いや、嘘は言ってないんだけどさ…という。

 流山は、前職にいたときから取組自体は注目されてましたけど、まず大躍進のキッカケは、つくばエクスプレスの開通ですよね。都心まで約30分。都心の新しいベッドタウン

 だから、まず、「あなたの街はベッドタウンになりたいんですか?」という問いは真似する前に持つべき。あなたの街の移住者は、どこで働くの?

 

 もちろん流山市の場合、ベッドタウンとして生きる、と決めてから神奈川、埼玉、同じ千葉でも総武線京葉線沿線、あるいは同じTX沿線でも柏とかとの対決を制してきたのは、成功と言っていいのだろうけども。

 で、たしか、電通博報堂どっちか忘れたけど、がっつり入れてたんですよね。これも都心で働く若い夫婦を引き付けるには費用対効果の面から成功と言えるだろうけど、あなたの街が望むのはそういう移住者ですか? という。

 

 ついでに、この流山が注目を集めた時代に、同時に街づくり分野で注目されていたのは、多摩とか大阪とかのニュータウンの話。

 今から50年前、高度経済成長期の終わり頃、大都市に出て来た団塊世代が子育てをするにあたり、彼らの家庭の場を大量に提供した新興都市が、子供たちが育ち、独立して、その後、どうなってるか、という話。

 急激な人口増加は都市の持続可能性としてどうなんでしょう。

 もちろん、流山市さんも今から手を打ってるんだとは思いますけど、視察に行くなら、何が上手く行ってるか、じゃなくて、「今後取り組むべき課題」も訊いた上で真似するかどうか考えるべきですよね。


7:軽井沢も長野新幹線でアクセス改善

 あくまでテレワークって観点で紹介されてて、さらっと流してましたけど、「ときどき東京に通う」ってモデルが成り立つ立地なのは重要ですよね。

 軽井沢って、バブル期までのちょっと遠い避暑地から、今は東京から長野新幹線で70分。

 

 上越新幹線ユーザの我々新潟県民は、ときどき高崎から都内に通勤してる人たちを見かける訳ですけども、高崎とか宇都宮が新幹線で約1時間と考えれば、軽井沢、長野の入口だったら毎日通うのはキツくても、たまに行き来するならアリですよね。

 

 そこを新幹線で120分の我々は、どう考えるか。毎日はムリでも、ときどきなら我々にも可能性はあるのか。

 

 まあ、紹介されてた移住者同士、あるいは移住者と地元民のコミュニティみたいな取組は大事なことだとは思いました。それこそ、前述のファウンディングベースの皆さんともその辺の話はしますけども。

 

8:市役所や現場の人はがんばって

 で、最初に書いた感想に戻ります。

 あくまで、テレビって「マス」メディアで、移住とかに大して興味がない人にも見てもらって、あれをキッカケにまず「地方移住」って選択肢自体に興味を持ってもらう番組なんだろうな、と思いました。

 なので、極めて上辺の、澄んだ部分だけをすくった感じが強く、あれを見て、首長や市役所の幹部、市議や地元の重鎮が「我々もあれをやろう」とか言っても、まず地獄を見る現場が容易に想像できます。おつかれさまです。

 立地や産業構造、自分たちの強みはどこかをよくよく検討した上、取組まれるのがよいかと思います。

 

 

9:三条市は移住者に優しいか?

 もしかして、検索流入で入ってきた人向けに、コレを最初に書いとくべきでした?

 

 まず、三条市は人口、減ってます。自然減(生まれる人より死ぬ年寄りが多い)+社会減(来てくれる移住者より出て行く地元民が多い)。ダブルパンチ。

 その辺の詳しい話は、またそのうち書くかも。実は先に手を付けて書きかけの原稿があるんだけど、着地点を見失って放置中。

 

 なぜ地元民が地元で就職せず出てくかって、働く場所が少ないから。

 製造業みたいに、一般的には敬遠されがちだけど実は面白そう、そういうマッチングの問題もある。そこは気にしないって人は是非。

 ただ、実際、商売として難しいって部分もある。そこは解決策あるよ、何とかできるよって人も是非。ただウチらもバカじゃないので色々と試行錯誤して、なお難しいので決してバラ色ではない。

 

 市民性に関しては、言葉遣いは悪いし、粗暴な人も多い*2けども、基本的には「三条」の名前が鎌倉後期に登場してから700年、基本的には一貫して交易と産業の街なので、部外者に対して閉鎖的ってことはないです。

 面白いか、面白くないか。儲かるか、儲からないか。

 

 ただ、いかんせん、田舎は田舎なので、一人か二人挟んだら、みんな、誰かの知り合い。なので、そういう人間関係が面倒くさいって人にはキツい部分もあるかも。

 あと、自分が外から来た人間なのに、その自分のいる場所で、ネイティヴ同士がローカルトークで盛り上がると付いていけずに疎外感を味わうって話もたまに聞く…けど、そのくらいは、まあ、しょうがなくない? そこまで俺らが配慮すべき?

 

 三条市の現状と課題、取組みなどについては、気が向いたら書きます。

 

*1:ちな木下さんが活動を始めた、その早稲田商店街のすぐそこに当時住んでた訳だけど、当時は知らなかった。商店街とかマジで興味なかったからな。新潟に帰ってきたらアパート裏のスーパーの社長が国会議員になって驚いた

*2:店を始めて一番よく受ける質問、「いけのさん何中ですか? 一中? それ、ヤバイ時代ですか?」。ヤバい時代って何だよ、ヤバくねーよ、いや、ヤバい連中はいたか…。