どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse³」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
先日、アメリカのワシントンポスト紙の料理コーナーで「オヤコドン(チキンと卵のライスボウル)」が紹介されていました。
それが我々の知っている「親子丼」とだいぶ違う、ということで一部ネットで騒がれておりました。
以下、当該記事。
PCだとたまに月額契約してねの広告が出て記事が読めませんが、スマフォなら行けると思います。PCでも読めるときがあり、再現性がよく分かりませんが。
で、上のリンクのサムネでも見えますが、完成写真。
違う…。これは多分、肉が多すぎじゃないかな…。
実際、材料の分量を見ると、2~3人前で
・3 boneless skin-on or skinless chicken thighs, sliced
・3 large eggs, beaten lightly
鶏もも肉3枚と卵3個…。
一般的な日本のレシピだと、たとえば白ごはん.comさんとかだと同じく2~3人前で
・鶏もも肉 … 100g
・卵 … 4個
鶏もも肉は個体差ありますが、1枚だいたい200~300gの間なので、白ごはんcomさんだと、1人前あたり卵2個に鶏もも肉が50g = 1/4枚。
アメリカのレシピだと、1人前あたり卵1.5個に鶏もも肉が1.5枚。鶏ももだけで比較したら6倍!
まあ、でもヨーロッパ生まれの酒たるビールを売ってると、日本と欧米の料理の構成の違いは、気になっているところ。
丼モノに限らず、日本の料理って、やはりコメが「主食」で、いかにコメを食べるかを考えて肉や魚、野菜といった「オカズ」が配置されている。
それに対して欧米での「メインディッシュ」は肉で、肉を食べるための「副菜」の一角として、コメや小麦といった炭水化物がある、という気がします。
コメがジャガイモやトウモロコシと同じポジション。
なので、この親子丼もアメリカナイズされて肉主体の料理にするとこうなるのかな、という印象。
もしも「こんな親子丼は親子丼じゃない」と言うのなら、「お前らが普段、食ってるラーメンやカレーは何なんだ、中国人やインド人に謝れ」という話ですよ。
カリフォルニアロールや、最近ならロンドンのカツカレーとかもそうですが。
ある料理が他の文化圏で広まれば、その地域に合わせてローカライズされるのは必然。
親子丼からオヤェイコゥダンへの進化。
と言う訳で、実際に、このアメリカ・レシピで作ってみる。
まず、レシピをGoogle先生にぶっこんで翻訳。
なお、いけのはこのくらいの英語なら特に翻訳必要ないんですが、Google先生のややズレた翻訳で見ていただいた方がアメリカナイズ!って感じが出るかな、と思っただけです。
注: 1 ~ 1 1/2 インチに切った鶏胸肉とスライスした豆腐は、調理時間が短く、合計 3 ~ 4 分かかります。
鶏肉をカリカリにするには、他の材料を加える前に鶏肉の両面を焼きます。その後、プレートに移します。卵を追加する前に、調理済みの鶏肉をフライパンの周りに均等に並べて、レシピを進めます.
解説すると、鶏ももじゃなくて、胸肉でもいいし、ベジタリアンは豆腐でもいいけど、調理時間を短くしてね、という話と、鶏肉の表面に焼き目をつけたのが好みなら先に焼いて一旦、取り出し、卵の前に戻せ、という話。
いかん、英語を直接読んだ方が絶対に分かりやすい…。
材料
インスタントまたは自家製だし 1カップ
みりん 小さじ2(酒で代用可)
醤油 小さじ2
グラニュー糖 小さじ1
中くらいの黄玉ねぎ 1/2 個(合計 4 オンス)、薄くスライス
骨なし皮付きまたは皮なしの鶏もも肉 3 枚、スライス
軽く溶いた大きな卵3個
ネギのみじん切り、飾り用(お好みで)
みつば(付け合わせ用)(お好みで)
炊きあがった和風短粒白米 2カップ
七味唐辛子 盛り付け用(お好みで)
ミリン、サケ、ソイソース、ミツバ、シチミとかはカタカナで行きたい。なお、アメリカはヤードポンド法で、1カップのサイズも200mlではないハズなので注意。1パイント473mlの半分が1カップだった気がする。237ml?
ステップ1
フライパンを中火にかけ、だし、みりん、しょうゆ、砂糖を入れて煮立たせる。必要に応じて、醤油や砂糖で味を調えます。玉ねぎを加え、柔らかくなり始めるまで6~7分煮る。ステップ2
鶏肉をフライパンに並べ、外側が白く透き通るまで、合計6~7分煮る。ステップ 3
卵の混合物が表面全体を覆うまで、溶き卵を滑らかな流れでフライパンに注ぎます。卵の食感が汁っぽく見えますが、それは正常です。フライパンにふたをして、卵がカスタード状になるまで 2 ~ 3 分、完全に調理します。卵の上にふたを開け、ねぎやみつば(あれば)をふりかけ、火から下ろします。ステップ 4
サーブするには、ご飯をボウルに分け、親子丼を続けます。テーブルにある七味とうがらしを添えて、あたためます。
ううむ、やはり英語のまま読んだ方が分かりやすい…。
で、やってみた。
ミツバはなかったので、刻みネギだけで。
ワシントンポストの写真ほど違和感ないけど、やはり肉が多いな…。1~1.5インチ、つまりセンチだと、2.5~4cmてことで、唐揚げ用の鶏もも肉を買ってきましたが、実際の量にも増して存在感がすごい。日本の親子丼だと1~1.5センチくらいで切ると思うので。
味の方は、我々の知ってる親子丼と比べると、少し醤油感が弱めかもしれません。改めて白ごはん.comさんのレシピと比べると、
・だし1カップ(≒240ml)、みりん2tsp(10ml)、醤油2tsp、砂糖1tsp(5ml)
・だし大さじ4(60ml)、みりん大4、醤油大2~2.5(30~38ml)、砂糖小2
ということで、だしが多め、醤油が少な目ですかね。
これは、醤油味が欧米人にはドギツすぎる、ということなのか、ダシ味を感じさせたい、ということなのか。
薄味の中でも鶏肉が、より薄味。これは大きめに切ってる上に、今回は煮る前に焼き目を付けたこともあると思います。
考えてみたら、これ、鶏肉に特に下味とかつけずに料理を始めるんですよね…。
アメリカのレシピの場合、明示してなくても、肉を焼く前に塩を振るのは当たり前だろ、てことなんでしょうか…。
気になったところは、そんなところです。
もし2回目をやるにあたって改良するとすれば、鶏肉を焼く前に塩コショウを振る(あるいは小麦粉も)
…とか考えたところで、いっそもっと欧米方向に振り切って、香味野菜を玉ねぎだけからソフリットやミルポワ(あるいはルイジアナのホーリー・トリニティ)に変えてみるとか、みりんを白ワインに置き換えるとか、ハーブ・スパイスで香りをつける、とか、ありかもしれない。
さらに、そもそも白米を炊いて乗せるより、ジャンバラヤやパエリア、ピラフのように最初から一緒に炊き込んだ方がいいのかな、しかも長粒米で、とか。
まあ、多分、やらないが。
以上、視点を変えて料理をしてみると、楽しいね、という企画でした。