どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
先日、当市を代表する経営者の大先輩*1にご来店いただきました。
メニューの文字が小さくて読みづらい、ということで、大先輩はビールを飲みながら、たまたま目の前にあったスモークナッツに興味を持たれて、注文しながら質問して曰く、
「ほう、わざわざ、自分で仕込んでいるのか? なぜ?」
いや、だって、自分で手間を掛け(≒コストを投入し)ないと、お金を取れない(≒儲からない)ですよね。
そこで、外部で作られた商品を仕入れて売るだけ*2のビールは利益率がそれほど高くなく、料理の方が原価率が低い*3、ということはご理解いただけた様子*4。
しかし、その後、他のお客様も含めて、あまりフードのオーダーがない様子を見てとり、大先輩曰く、
「もっと積極的に食べ物を出してはどうか。押売りになったらよくないかもしれないが、こういう食べ物ありますよ、と、もっと薦めるべきではないか? こういうものがあります、と君に言われなければ、こちらは分からないのだから」
ご指摘を受けて、考えたこと2点。
1点目は、当店がお通しを出さない理由とも共通しますが、基本的に、いけのは自由主義者なので、自分が客だったら、自分が食べたいものを食べたいし、食べ物が要らないときは食べたくないと思っています。
なので、オーダーされない食べ物を出すのは抵抗があります。それで残されても嫌だし。
一方、2点目は、これは特に真摯に受け止めるべきアドバイスとして、「来店者は分からない」、店側よりも来店者側の持っている情報量が少ない、ということ。
まだクラフトビールに親しんでいない方に、どのビールを飲めばいいか、を提案させていただくのと同様、どういう食べ物があり、どういうビールを飲むときは、どういうフードが合わせて楽しめるか、ということは、こちらから、もう少し提案をしてもよいのかもしれません。
会話によるコミュニケーション、メニューの導線、と言ったその場での説明も工夫する余地があるでしょうし、あるいは、このブログやfacebook、イベント等を通じた基礎的な情報提供、といったものも検討する余地がありそうです。
現状、フードメニューの充実を図ろうにも、在庫とロス率、オペレーションコストをふまえると、あんまり商品点数を増やすのは得策ではない、と思っているので、その日のタップにつながっているビールに合わせて、このビールならこのフード、みたいな基本の組み合わせは、もう少し考えてもいいかもしれません。
と言っても、そこも所詮は、人の好みだと思うし、あるいは誰でも一定程度、受け入れられる基本があるとして、いかんせん料理のバックグラウンドが薄すぎて、そこまで基本を理解できていないんですよねぇ…。
先日、フードの充実を図る上での基本方針を研ぎ澄まそうと、たまたまマギー先生の本とか読んでいて思ったんですが、ビールの場合、ワインのように口先で味を判断するだけでは足りなくて、香り、ノド越し、喉の奥から鼻に抜ける香りとかも、相当、重要な要素となっているので、中々、複雑でハードル高い。
ともあれ、こういう偉大な経営者の先輩が住んでいて、経営に関するアドバイスをいただける三条という街は、有り難い街であります。
こういう諸先輩の知見を整理して、周囲や次の世代の皆さんに伝えていくことも当店の重要な役割と改めて思いを強めた次第です。
大先輩が帰り際に他のお客様に向かって曰く、
「この店をもし気に入って、なくなってほしくない、と思うなら、この店を儲けさせなきゃいけないんですよ。ビールだけじゃなくて、食べ物をどんどん注文してやってください」。
いや、ビールだけの気軽な利用でも全然、構いませんよ。儲かりませんが。
と言うか、そろそろ、ビールとフード、それぞれの精密な原価構造を確認して、見直さねばです。
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