Beerhouse³ 営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋やってます

4/16(日)桜を見ながらダラダラとビール飲もうかと

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 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。

 

 前職が地方公務員ですので、遵法精神はそれなりにある方です。たぶん。

 

 さて、便宜上、店のブログで告知をさせていただきますが、これはあくまで、いけのの個人的な催しとして開催するものですので、その旨、ご理解の上、参加について検討いただければ、と思う次第です。

 …そもそも後述のとおり告知すること自体どーなんだ、と思う部分もあるので、興味をお持ちの皆さんもSNSとかで拡散しちゃダメ! ゼッタイ! 

 お知り合いとかにご紹介、お誘いいただく際は、個別に直接、お願いいたします。

 

 で、明るい日差しを浴びながら、そよ風を受けて外で飲むビールってうまいよねぇ、ということで、今年は外で飲む機会を何度かつくれればいーなー、と思っておるのですが、その第ゼロ弾、準備のためのテストケースとして、4月の桜の季節に、花でも見ながら…一人で飲むのも何ですし、よろしければ、ご一緒しませんか、という企画です。

 

 【日時】 4月16日(日) 午後1時30分頃から午後3時頃まで

 ※今年の開花予想日11日だそうなので大丈夫かと思いますが…

 【場所】 現在調整中。当店から徒歩圏内。参加希望者にのみ別途お知らせします。

 【会費】 あくまで個人的な会なのでお気持ちで、と言うと判断迷う方もいると思うので、1口2,000円でお願いします。自分は人の倍飲むぞ、という場合、割増も承ります。

 【内容】 ただダラダラと飲むだけです。1人1~2リットルくらいの分配予定。集まり具合を見つつ、樽のグレード・容量・種類等、検討します。食べ物も同様。

 【参加方法】 準備の都合等ありますので、4月9日(日)までに店頭、メール、SNS等でご連絡ください。「直前まで都合が分からん」という場合は、その旨を。

 まあ、たぶん、1人2人の飛び入り参加は対応可能と思いますけども、ただ、これも後述するとおり、通りがかりの誰だか分からない人に飲ませるわけにはいかんのです。

 

  以上イベント説明終了。

 以下、普通に店のイベントとしてやればいんじゃねーのー、という疑問に対して、長文解説。

 

 日本の法律では、個人的な活動と、営業活動とで規制の強さが違う場合が結構、あるんですよね。

 たとえば、お母さんが車で子供を塾に送っていったり、男の人が付き合っている彼女と食事をするのに車で迎えにいったり、というのは、もちろん合法で何の許可も申請も要りませんが、これに送迎料金とか発生しちゃうと、白タク行為になってしまう。

 飲食も一緒で、お母さんが家族のご飯をつくったり、女の子が男子にバレンタインのチョコを手づくりするのに何の許認可も要りませんが、それを商売にして料金が発生すると営業許可とかが必要になる。

 

 個人的な行為と営業とで規制の強さが違う理由は、おそらくは2点。

 1つは、個人的な単発、小規模の取組みであれば、事故発生のリスクも低いし、万が一の場合の影響も小さいけれど、営業として継続的、大規模に行われると、リスクが拡大するため、事業者にリスク低減の努力を課すと同時に、責任を負わせる。

 もう1つは、消費者保護的な観点から、サービスの提供側と消費者側とで情報格差があったりして、消費者側が不利益を被ることがないよう、提供側に規制をかけるって発想、なのかなーと思うところ。

 

 いずれにせよ、日本の法律では、このように個人的な活動と営業とで規制が異なる場合、その線を引く際に、「業(ぎょう)として」営む者、とか呼びます。

 

 で、どっからが営業で、どっから営業じゃないのかの線引きは、法律の条文で定義が明文化されていたり、明文化されていなくても通達や判例による基準が示されていたり、いなかったり、で個別の法律ごとに曖昧なところではありますが、一般には

 

 (1)営利を目的として

 (2)不特定多数を対象に

 (3)反復継続性をもって

 

行うと営業とみなされることが多いようです。逆に言えば、(1)非営利、(2)特定少数を対象に、(3)単発であれば、営業性は問われない。

 

 で、今回のイベント、というか、今後の継続性を考慮した場合でも、日本国内では屋外での飲食「営業」は、すっげーハードルが高いんですよね。

 ハードルが高いというよりも、原則禁止されていて、一部例外を許可する、というスタンス。 

 

 食品衛生法では、

 

第五十一条  都道府県は、飲食店営業その他 ー略ー の施設につき、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。
第五十二条  前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。

 

 さらに食品衛生法施行令で

 

 第三十五条  法第五十一条 の規定により都道府県が施設についての基準を定めるべき営業は、次のとおりとする。

一  飲食店営業(一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、カフエー、バー、キヤバレーその他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいい、次号に該当する営業を除く。)

二  喫茶店営業(喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。)

 以下略

 

と規定しており、そもそも営業「施設」の外での飲食営業を想定していない。

 

 ちなみに、ビールの提供は、缶やビンのまま売るのであれば、単なる「販売」で食品衛生法には引っかからないのですが、「注ぐ」という行為は、調理に準ずるようです。

 で、缶やビンのまま売るのは、今度は酒税法の規制があり、これも場所にヒモづけられた許認可制度なので、臨時的に売るハードルは同様に高い*1

 酒税法の条文は下記。

 

第九条  酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業(以下「販売業」と総称する。)をしようとする者は、ー略ー 所轄税務署長の免許(以下「販売業免許」という。)を受けなければならない。ただし、酒類製造者がその製造免許を受けた製造場においてする酒類 ー略ー の販売業及び酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない。   

 

 屋外での飲食が原則禁止なら、「じゃー、イベントとかの屋台はどうなってんのー?!」というと、例外的に「臨時食品営業」という取り扱いで、各都道府県が施設基準を緩めているんですね。

 新潟県の場合は、「新潟県季節又は臨時食品営業の取扱要綱」って名称で、1日とか数日の単発イベントは、ほぼ「臨時食品営業」と考えてよい。

 

 で、臨時営業の定義は、

第2 定義及び対象業種
季節及び臨時営業の対象は次のとおりとする。
ただし、「新潟県学校及び社会福祉施設の行事に伴う食品提供の取扱要綱」(平成5年4月15日付け環衛第63号の2)及び「新潟県イベントにおける食品提供の取扱要綱」(平成5年4月15日付け環衛第63号の3)並びに食品の提供にあたって対価の授受を伴わず当該行為が短期間で反復性がないものであって、事業の規模が小さいもの又は他の事業に付随して小規模に行われる食品提供は含まないものとする。
また、対価の授受があっても極めて少額な金額を徴収する場合も含まないものとする。

 

臨時営業
海水浴場、花見会場その他の行楽地又は物産展、農業祭若しくは市街地等における地域の活性化のため等の催し物の会場において、営業期間が1か月以内の臨時的な店舗を有する営業(市日の市場等における営業及び店頭等において反復して行う営業は含まない。)をいい、次に掲げるものを対象とする。

 

 法律に詳しくない皆様、ついてこれてるでしょうか?

 

 この要綱の解釈としては、(1)原則、食品営業許可を取れ(ちゃんと施設を構えろ)、(2)特別な理由があれば例外を認める、(3)さらに特殊なヤツはわざわざ申請しなくていいよ、という3段階の制度になっている、という理解で問題ないと思われます。

 

 で、2番目の例外として申請して認められる条件は、「行楽地又は物産展、農業祭若しくは市街地等における地域の活性化のため等の催し物の会場」での臨時的な営業なので、何らか主となるイベントがあって、その1要素として飲食がある場合ですね。

 今後、継続的に屋外でビールを飲むイベントを実施していく場合には、これが「地域の活性化」に、いかにつながるのかを県職員の皆様に認めていただけるよう、企画の趣旨等整理して努力をしていく必要があるとは思いますが、とりあえず、4月については面倒なんでパス。

 理由は、面倒くさいからだよ、それ以上でもそれ以下でもないよ。イチイチそんなことやってらんないよ! 気軽に外で飲みたいだけなんだよ!

 

 なので、(1)店の外=法律で許可されない、(2)個人的なゆるいイベント=県の要綱でも許されないただの飲み会なので、必然的に、3番目の「要綱で取り締まる範囲じゃないから勝手にやって大丈夫だよ」という範囲内でやる必要があります。

 …この辺、前職のときから日本の法治システムに、すげー違和感あるんですが、申請しても許可を下せないので、申請しないで闇でやってください、という受け取り方もできない訳でもなく…。

 

 いや、うがった見方をせず前向きに捉えるなら、小規模の限定的なものなら申請要りませんが、大々的にやるならきちんと申請をして指導を受けてくださいね、ということなんでしょうけども。

 

 食品衛生法の立法趣旨を踏まえれば、

 

第一条  この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。

 

ということで、安全を確保し、危険が拡大しないよう努めることを念頭に置きつつ、再び県の要綱を考えましょう。 

 

 例外的に、この要綱の対象とならないものは

 

(1)「新潟県学校及び社会福祉施設の行事に伴う食品提供の取扱要綱」

(2)「新潟県イベントにおける食品提供の取扱要綱」

(3)食品の提供にあたって対価の授受を伴わず当該行為が短期間で反復性がないものであって、事業の規模が小さいもの又は他の事業に付随して小規模に行われる食品提供は含まないもの
(4)対価の授受があっても極めて少額な金額を徴収する場合も含まないものとする。

 

の4種類。

 まず最初の学校や社会福祉施設ってのは、いわゆるバザーとかのことなんでしょうから、我々は対象にはなりません。

 2番目の「イベントにおける食品提供」の要綱を見ると、

 

第2 規制の対象
イベントの開催に伴い、臨時的に施設を設けて不特定多数の者を対象に食品を大量に調理又は製造し、その場で提供する場合並びに食品を大量に配布する場合であって次のすべてに該当するものを対象とする。
1 市町村等非営利団体が自ら主催するもの
2 食品の提供にあたって対価の授受を伴わないもの
3 イベントの開催時期が短く、反復性のないもの

 

ただし、次に該当するものは対象としないものとする。
1 市町村等非営利団体が行うものであっても、イベントが極めて小規模であるもの
営利団体が行うものであって、他の事業に付随し小規模に行われるもの

 

 はい、店として主催する場合、非営利団体ではないので、この要綱の対象にもなりませんねー。

 ここで注目しておくべきは、非営利であれ、営利であれ、「小規模」のものは、この要綱の規制の対象にならない、と言われてる、ってことくらいでしょうか。

 先ほどの「業として営む」というラインや立法趣旨を踏まえても、まず小規模開催は比較的、お目こぼししてもらえそうだ、と。

 

 という訳で、臨時食品営業の要綱に戻りまして、3番目と4番目の例外条件、

 

・食品の提供にあたって対価の授受を伴わず当該行為が短期間で反復性がないものであって、事業の規模が小さいもの又は他の事業に付随して小規模に行われる食品提供は含まない
・対価の授受があっても極めて少額な金額を徴収する場合も含まない

 

 はい。この枠内でやらせていただきたい、と思うところであります。よろしくお願いいたします。

 

 条件1 対価の授受を伴わない、あっても極めて少額

 条件2 短期間で反復性がない

 条件3 事業の規模が小さいもの又は他の事業に付随して小規模に行われる

 

の3点ですね。

 まさに、先述の営業か個人的な活動かのライン、(1)非営利、(2)特定少数、(3)単発と一致します。

 

 という訳ですので、食品の衛生確保の観点から、ごく限定された皆さんを対象に最小限のリスクの中で、やらせていただければ、と思う次第です。よろしくお願いいたします。

 体調等は自己管理の下、無理をせずにご参加いただければと思う次第であります。

*1:小売免許の申請がどのくらいのハードルなのか今度、税務署に聞いてみよかなー、とは思いますが