Beerhouse³ 営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋やってます

敬老の日に少子高齢化を考える

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 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を開店半年、何とか生きながらえております店主いけのです。

 

 そういえば今日9月19日は、ハッピーマンデーの「敬老の日」でした。休日ですが月曜のため、当店は定休日です。

 

 で、偶然、昨日、来店されたお客様との会話。

 

 少子高齢化は新しい日本の働き方をつくるチャンスなのかもしれない、という話と、その中での高齢者の役割について(以下、お客様の意見にいけのからの聞き直しや付けたしを加えて再構成しております。役に立つと思える部分はお客様の功績、それはおかしいだろという部分はいけのの責任ということで)。

 

 今、日本で少子高齢化が進んでいます。

 高齢者が増えていくと、ただでさえ労働人口が減っていくのに、高齢者を支える医療、介護、福祉関係の仕事に人を取られて、ますます生産人口は減っていきます。

 高齢者を支える仕事は、大切で尊い仕事ではあるけれども、経済という側面から見たとき、付加価値を生み出さない仕事でもあります。価値を生み出して経済を回さなければ、医療、介護、福祉に関わる社会保障費はどこから捻出するのか。


 そして、少子高齢化を回避するために、子育て施策に注力し、それが奏功してベビーブームが起きた場合、育児や教育、小児医療の仕事にも人と予算を取られてしまいます。明日生まれた彼や彼女が立派な労働力として社会に出るのは20年後。それまでの間、労働人口と予算はどこから持ってくるのか。

 

 今の在日朝鮮人・台湾人を巡る問題、ドイツやフランス、ベルギーの中東系移民の問題、イギリスのEU離脱を見て、現実的な施策として、労働力としての移民を受け入れることが、今の日本にできるのか。

 

 お客様いわく、残業禁止、定時退社が1つの鍵である、と。

 

 もしも毎日決まった時間に帰ることができれば、働きたい人はもう1つの職業を持つことができるかもしれない。

 これまで専業主婦として家に縛られていた人たちも、夫が決まった時間に帰ってくるのであれば、より家事の分担がしやすくなり、パートのレジ打ち以上の社会参加ができるかもしれない。

 減っていく労働人口をカバーするためには、専業主婦として家にいた人たちに、どうやって労働参加してもらうかが重要だ、と。

 

 また、独身の人たちは、毎日決まった時間に仕事が終われば、毎週決まった曜日の決まった時間に、どこかのサークル、コミュニティ活動に顔を出したり、街に出かけることで、新しい人間関係が広がり、深め、そこから未婚率を低下させ、出生率を上げられるかもしれない。

 

 労働人口を確保するための潜在的な労働力として、退職した高齢者に再就職してもらう、という方法もあるのではないか、と他のお客様。

 

 日本の場合、ある程度、儒教的な、年長者を敬う、という風習があるため、高齢者がそのまま企業にとどまることは若手の自由な活動を阻害し、会社全体を停滞させる危険性もあるのではないか。

 かつては年長者、すなわち経験があること自体が、年少者からの崇敬の対象となった。しかし、現代社会では、経験が価値があるかというと、必ずしも、そうとは限らない。時代の変化が速く、過去の経験は役に立たない、むしろ足かせとなることも増えている。

 

 お客様いわく、どんな人であれ、経験は財産ではあるけれども、お宝ではない。

 経験を積んだことで、手元になにがしかは残るが、財産には、プラスの財産もあれば、マイナスの財産もある。宝物と違って、必ずしも価値があるとは限らない。

 

 イチロー選手のことを考えてみよう。

 

 驚異的な自己管理でいまだに現役を続けているけれど、それは若手の出場機会を奪うことにもなっている。そして、やがて若手が台頭し、彼にも引退のときがくる。その後、彼はそれまで培ってきた自分の経験を若手に伝えることで、優れた指導者になれるだろうか。

 

 ある人の経験は、その時代のその人だからこそ有効に機能したのであって、それを次の時代、次の人にそのまま当てはめても、おそらくはうまくいかない。

 時代は変わっている。人には個性がある。

 先達の経験は、参考書としては役に立つだろう。しかし、教科書にしてはいけない。そっくりそのままなぞるお手本としては、おそらく役に立たない。

 若い人たちは、あくまで参考程度に年長者の意見を受け止めて、自分のやり方を探すべきである。

 

 高齢者の社会参加を考えるとき、その辺りが問題になる。

 そして、それは決して他人事ではなく、今、20代、30代の皆さんも、今から考えるべきことなのでしょう。

 どこまで若い人たちと仕事の上で優位に立てるのか。優位に立てなくなったとき、今、自分たちが蓄積している経験値を、どうやったら次の世代の人たちに役立てる形で磨き上げていけるのか。

 

 お金をいただいて、働き方や世の中について考え直す機会となるような話を聞けて、自分の考えを深め、 疑問や確認にも応えていただける。今後も当店は、そういう店を目指してまいりたい。

 皆様も偶然、居合わせたら、お楽しみいただければ、と思う次第です。

 

 ま、くだらない、気楽な話も歓迎ですけども。