※4/28 最下段に追記あり
どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
今朝、4月27日の早朝、当店もお世話になっているナガノ・トレーディングさんが、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴを代表するブルワリの1つ、バラストポイント・ブリューイングとの契約解消を発表されました。
そろそろ暖かくなってきて、また「スカルピン」とか仕入れようかと思っていたものの、このところナガノ・トレーディングさんの在庫が薄めだったので、どうしたのだろう、とは思っていたのですが。
という訳で、当店でもバラストポイントの取り扱いが停止することになりますので、ご承知おきください。
バラストポイント社は、元々、1992年にサンディエゴで自家醸造用品のショップをはじめたジャック・ホワイトが1996年に創業し、サンディエゴのクラフトビール・シーンを牽引してきた会社の1つでしたが、実は、2015年にコンステレーション社の傘下に入っていました。コンステレーションは、アメリカ国内でコロナやネグラ・モデロ等の販売を手掛ける会社です。
Ballast Point (本国公式)
Ballast Point Brewing Company - Wikipedia
Constellation Brands - Wikipedia
そして、上記Wikipediaの記述によれば、2016年に入って、創業者のホワイトと、COO(兼ヘッドブルワー)、CEO、CCOの幹部4人が会社を離れていたそうです。
こちらの記事では、新しいCEOはコンステレーション出身、とのこと。
また、バラストポイントはジンなどのスピリッツも生産しており、こちらはコンステレーション傘下に入っておらず、ホワイトとCOOは、このスピリッツ部門を独立させて携わっていく、とのこと。
アメリカでも第2次世界大戦が終わってから朝鮮戦争中の好景気に乗って出産ラッシュが訪れましたが、今、その人口が多い世代が高齢者となって、気軽、手軽なアルコール飲料としての大手ビールの市場は縮小しています。
また、アメリカでも若者が豊かな消費文化の中、個性を反映する手段として嗜好を多様化させていく流れにあって、大手ビールは対応に苦戦しています。
一方で、ビール醸造は製造業であり、一定レベルの成長を目指す場合、装置産業としての要素が強くなることから、企業の成長段階での設備投資、その資金調達が課題となっているようです。
大手ビール会社としてはクラフト需要を取り込みたい要求があり、クラフト側としては資金調達が必要、というところで両社の思惑が一致して、いくつかの買収事例がここ数年、クラフトビール業界をにぎわせています。
当店で人気の輸入ビールで言えば、アメリカ・サンディエゴのセイント・アーチャーも既に大手モルソン・クアーズ傘下に収まっています。
Craft Breweries | Breweries | MillerCoors
そして、セイント・アーチャーも創業者の一人が今年2月に離脱して先に離脱した別の創業者との事業に参加する、とのこと。
ちなみに新事業はこんな会社。幅広く飲食製造やっていく上で、とりあえず第1弾は、ココナツ・ウォーターだそうで。
アメリカのクラフトビール史をたどった「クラフトビール革命」を読んだときにも、特に西海岸のクラフトビール・シーンは、カリフォルニア、あるいはアメリカ西部特有の開拓者精神があり、シリコンバレーにも通じる起業家精神があるように感じたのですが、ある程度、軌道に乗せたら、次に移る、というのも彼らの流儀なのかもしれません。
クラフトビール革命 地域を変えたアメリカの小さな地ビール起業
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豊かな消費者ニーズに対応する製造業の経営、という視点からも、当店としてはクラフトブルワリに注目してまいりたい、ところ。
消費者により深くコミットしようとすれば、顔が見える範囲で人として付き合っていく、ってことになるのかもしれませんが、個人的には、だからといって地域に根差したマイクロブルワリ、って選択肢には、あんまり興味がないんですよねぇ、それはそれで1つの方法論だとは思うんですが。
4/28 追記
本日、ウィスク・イーさんからバラストポイントの輸入を開始する旨、発表がありました。
ウィスク・イーさんは、これまでイギリスのブリュードッグ、デンマークのミッケラーなどの輸入を手掛けてこられたインポーターさんで、こちらも当店、大変お世話になっております。
代理店変更は、もちろん輸入条件等に変化があったためと思われますので、今後の取扱いについては、その辺りを確認をした上で検討したいと考えております。