Beerhouse³ 営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋やってます

産業構造の変化と人口の移動について

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帰宅する背広組(東京丸ノ内)|ぱくたそフリー素材

 

 どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。

 

 東京一極集中、地方の人口消滅危機が叫ばれる中、実は、ほんの100年ちょっと前まで東京は日本の最大人口の都道府県ではなく、近代化によって集中してきた、って記事が「ねとらぼ」さんに載ってて、面白かったのでシェア。

 

nlab.itmedia.co.jp

 

 まあ、新潟がしばらく人口1位だったこととか、首都圏の銭湯に新潟出身者が多かったって話とかは有名ですけど、さらっと今井藤七とか出てきたり。

 

今井藤七 - Wikipedia

 

 中々、よくまとまっている記事だけど、過去にモレッティとか読んだ記憶から、自分なりに軽く補足。

 

beerhousecubed.hatenablog.com

 

 まず、産業革命以前の主要産業は農業。

 この時代に重要な資源は、土壌と気候。江戸時代を通じて新田開拓が進んだ結果、新潟県は穀倉地帯となって人口を支えた。浄土真宗で口減らしがあまり行われなかった、てのは記事を読んで、へぇ、と思いました。

 また、記事でも指摘のあるとおり、流通経路として、水運が主体であったため、外洋で台風の影響も受けやすい太平洋岸よりも内海の日本海航路、北前船が重要だった、というのも抑えておくべきところ。

 

 次に産業革命以降。

 日本の産業革命はいつ始まったか、てのは、普通は明治の文明開化、殖産興業政策でゆるやかに始まって、日清戦争以降、本格化って理解でいいんじゃないでしょうか。

 この時代に大事な資源は、鉄鉱石をはじめとする鉱物資源と、石炭・石油といった燃料、そして労働力。

 また、この時代の流通は、国内で鉄道が普及した一方、資源輸入国であるため、外洋港の存在感が増していく。外洋航海に耐えられる造船技術とかも産業革命の中で獲得されていくのでしょうけど。

 

 そして、東京が人口1位を獲得した後、現在に至るまで東京一極集中が強化されていく。

 工業化と同時に商業の集積が進むと重要な資源は、労働力というよりも、消費者としての人口集積。工業化の中で都市に労働者が集まったことで、この労働者を相手にした商業も活性化していく。

 また、製造業も内需だけでなく、輸出に力を入れていくことで、ますます太平洋側の港湾都市の重要性が増していく。

 

 さて、これからの時代は、どうなるのか。

 情報技術の発達とともに、商業における人口集積のメリットは薄れていく、と考えられている。今までのように大都市に行かなくても、たとえば、電子データでぱっと受け取ることが出来たり*1、ネット通販により商品の的確な受発注が可能となってきた。

 でも、現実には、大都市集中は止まりそうもない。

 

 そこでモレッティが指摘しているのは、今の時代に最も重要で貴重な資源は、人の頭の中にあるアイディアで、しかも、これは1人の頭の中で発生するのではなく、多様な人間が交流することで、生まれるのだ、ということ。

 

 今、東京に人が引かれるのは、そこに多様な人が集まっていて、常に新しいアイディアが生まれる場所だから。

 

 なので、ここを上手く対応できれば地方都市にも、また違う未来があるのかもしれない。

 今、世界で一番、勢いのある企業の1つ、アマゾンはシアトルに本社を置いている。アマゾンがシアトルを選んだ理由は、マイクロソフトの本社があって、その周辺にIT関係の人材が集まっていたから、らしい。

 なお、マイクロソフトがシアトルで立地したのは、ビル・ゲイツポール・アレンの地元だったから、なのだけど、このとき、1970年代までのシアトルの中心だったボーイングがどう影響したのかどうかは、あんまり話に聞かない。

*1:3Dプリンタが普及すれば形あるモノもデータで受け渡し可能になる