プレゼンテーションのイラスト「ホワイトボード・右肩下がりのグラフ・女性」 | かわいいフリー素材集 いらすとや
どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
昨年10月1日を基準日として実施された国勢調査の人口等基本集計が去る10月26日に発表されましたので、さくっと三条市の若年層の人口流出入部分の確認を。
国勢調査は、10月1日を基準日とするため、4月1日基準で動くことが多い我が国の「同い年」ってイメージからは半年ずれるのですが*1、5歳階級別で人口の増減を追う、というもの*2。
たとえば、上のグラフで、「1976-1980」で示されているのは、1976年10月から1980年9月までに生まれた人たち(=うちら)で、1980年調査時には0~4歳、以後、5年に1回行われる国勢調査の回数を重ねるごとに5歳ずつ歳を取っていき、昨年の調査時には、35歳から39歳となっている集団です。
人口は、生まれるか、引っ越してくるか、引っ越していくか、死ぬか、の4要素でしか変化しないため、特に社会動態、すなわち、ある世代の人たちが出て行ったり、入ってきたりの状況を見るのに役立ちます。
あくまで特定の個人を追うのではなく、その世代全体の傾向ですが。
まず、三条市の全体的な傾向として、高校卒業あたりを契機に、一気に減って(市外に出る人の数が多くて)、その後、戻っては来るけど、全員ではない、というのが大きな特徴です。うちらの世代で言えば、1980年調査時(うまれた直後)で8500人弱いたのが、2000年には5700人(対0-4才で70%弱)まで減り、現在少し増えて、6100人(70%強)って感じです。
まあ、先日の記事でも書いた、大学のない地方都市は、どこもこんなもんですが。
そして、前回2000年調査までの各世代別の傾向としては、3点。
第1に、1966-1975年生まれの2世代に比べると、我々1976-1980生まれ世代は、出て行く比率は増えているのに、戻り方がなだらか、という傾向がありました。
2番目として、76-80世代までは、20代で戻ってくるのに*3、81-85世代では、25-29歳になっても、なお減る、というのも大きなポイントでした。
さらに3番目として、86-90世代では、最大流出ポイントの20歳前後での流出が引き続き大きいとはいえ、それまでの世代に比べると、歯止めがかかっていました。ただし、これはリーマンショック等の景気動向を背景に、県外進学を諦めて、後ろ向きな理由で自宅通学や地元就職を選択した人たちが増えている可能性もあり、将来的な三条市の発展を考えた場合、必ずしも好感できるものでもないと思われます。
そして、今回調査の大きな注目点。
まず好感できる点として2点。
1960年代以前の世代に遡っても、おおむね30台に達すると、居住地は固定化され、この辺りから社会増減よりも自然減の影響が出始めて、人口が緩やかに減っていたのが、66-70、71-75、76-80の各世代で人口が増えました。
そして、我々の世代と違って20代での回復が見られなかった、81-85世代も大幅に回復を果たしました(60%弱→70%強)。
一方、注視が必要な点として3点。
86-90世代は、引き続き緩やかながらも、81-85世代に続き25-29才でも減少しています(75%超→70%超)。
また、91-95世代は、高校卒業後の流出が再び広がっています(70%超)。
そして、06-10世代は引き続き出生数が減っているのみならず、その減少幅が拡大しました。第2次ベビーブーマーの71-75世代の0-4才人口を100とすると、94、80、70、60、55、49、45、40。まあ、毎回10%くらいずつ落ちているうちの誤差と言えば、誤差ですが、前々回と前回の差が7%減だったのが、今回と前回の差は12%減。
人口回復が20代後半から30代後半にかけて起きている、という状況は、大きく3点可能性があると思います。
・転職による流入
・結婚による流入(市内在住男性と市外在住女性の同居開始等)
・新居(戸建て住宅)購入による流入
細かい転居理由や転居元については、住民票の異動時に理由を調査しており、前職在籍時に見た統計では、三条市の場合、20代~30代の女性が婚姻により流出する割合が大きかったので、ここで何らか変化があったのかもしれません。
40代でも流入超過ということから、3番目の新居という可能性もありますが、あんまり住宅が増えているような印象もなければ、中古住宅の売買が進んでいるようにも見えず、この辺りは、他の資料での検証が必要なところと思われます。
本当は、男女別で人口が発表されているので、そちらの変化を追うだけでも、だいぶ見えてきそうですが割愛。
とりあえず、日本国内全体の人口が減っていく中で、社会増が見られた、というのはよいことではないでしょうか。
一方で減少要因。
流出年齢が上がっている理由としては、我々の世代くらいまでは3分の1が経験していた高卒での県外進学、県外就職に対して、近年、県内大学が増えたり、県内専門学校に通うなどして、親元で暮らす期間が延び、20代前半でも市内に留まっていた人たちが、就職に際して、市外に出るパターンの影響かと思われます。ここに結婚などによる流出も重なるのかもしれません。
また、大学生の場合には、住民票と同様、実態としては既に市外で生活していても、調査上、親元で回答する、というケースもあるのかもしれません。
高学歴化は社会全体の傾向として当面、とどまることはないため、18~20歳前後での流出は弱まるが、その後ももう少しなだらかに流出する、という傾向は今後も続くのでしょう。その際、就職等で、どこまで引き止めたり、連れ戻すことができるか。
来年1月に公開予定の人口移動の移動元・移動先の地域別データも、先ほどの中年層での流入超過とともに見る必要があるかもしれません。
また、出生数については、96-00で1度下げ止まったのは、第2次ベビーブーマーの71-75世代のうちの早い人たち(当時20代)の出産によるものと考えられ、前回06-10に生まれた子どもの親は、その世代の遅い人たちと、そもそも全体に晩婚化傾向の我々世代の影響と考えられます。
すなわち、今後はしばらく親世代が減少し(多少の社会増はあっても)、出生率が同程度にとどまれば確実に出生数は減っていくことを覚悟する必要がありそうです。
これも男女別の人口を見ておくべきかもしれません。青年期の男性が多いことは、結婚後の居住地の決定には一定の影響力があっても、出生数には無力なので。
なお、当店に関係する要素として、人口集中地区(DID)については別途再集計されているのですが、三条市全体で20代、30代、40代の人口が4万人くらいに対して、DIDに限ると1万6千人くらいです。
三条市の場合、DIDですら地域が広がりすぎて、当店まで歩いてくるには遠いだろ、というエリアも含まれるのですが、もう少しこの世代(当店の見込み客)の都市居住が増えて行かないと、商圏としては厳しいかな、という印象を持っております。
参考までに、前回2010年調査に基づく新潟県内各市のDID地図。