※写真は昨年の三条八幡宮献灯祭
どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
民俗ネタ。
三条の総鎮守、三条八幡宮では毎年小正月の1月14日の夜から、15日の朝にかけて、拝殿内で大きなロウソクに火を灯す「献灯祭(けんとうさい)」ってイベントが行われております。
個人的には、スルメあぶって食ったり、スルメあぶって食ったりする印象しかありませんが。
で、この祭りと全国の小正月の火祭りである、いわゆる「どんど焼き」や「さいの神」との関係はどうなってんだろ、と調べてみました。関係者への取材ゼロ。いわゆるコタツ記事ってヤツです。
なお、店主は郊外新興住宅地の核家族生まれ、加えて祖父母も4人とも戦後の都市化時代に旧三条市域(と言っても、最も狭い三条、旧三条町の外)に移ってきた人なので、地域の伝統行事とかに主体的にコミットした経験がありません。
さて、小正月の火祭り。
大モトの行事は、宮中で三本の毬杖(ぎっちょう)を用いて行う新年の行事で、「三毬杖」(さぎちょう)ってヤツだと、wikipedia先生に記載が。
で、これが民間に移って、「左儀長」(さぎちょう)となった、と。
そこから、さらに新年の行事ということで、「年」の神様である「歳徳神」(さいとくしん)と結び付けられ、それらの地方では、「どんと焼き」と呼ばれる模様。
さらに、「さぎちょう」や「さいとくしん」との音からの連想なのか、「さいの神」とも呼ばれるのだけど、「さいの神」の「さい」は「塞」のことで、「道祖神」の訓読みのことらしい。つまり、道や交差点の神様。
本来は、よそ者が集落に入ることを防ぐ、ということで「塞」の神なのだけど、いつしか、交通や旅を司る神にもなった、ってことでしょうかね。
全国的には「さいのかみ」と呼ぶ地域の方が多いようですが、小正月の行事がなんで道祖神の祭りになったのかは…音による連関以外、何か理由があるんでしょうかね…。新年に当たって、新しい道を切り開く、的な…?
よく分かりませんが、とは言え、全国的には、小正月の火祭りは道祖神の祭りだ、と。
てことで、何となく三条の献灯祭とつながりました。
というのは、献灯祭でロウソクを灯すのは、商人が多かった三条の町で、旅先の道を照らす、という意味があるらしいので。もちろん、昔の商人というのは、自分で荷物を担いで旅に出るのが仕事な訳ですから。
なお、三条八幡宮の春季大祭で最も注目を集める大名行列の「天狗」も、本当は「道祖神」なんですけども、八幡宮における道祖神信仰の位置づけは不明です。
八幡宮は、弓矢や武家、あるいは稲作に関する神様ではあっても、旅に関する神様って話は聞かないので。
たとえば、三条では熊野神社って、あまり聞かないのですが、日本で一番有名な名字「鈴木」氏を氏子に持つ紀伊半島出身のこの神様は、船の神であり、旅の神であり、商売の神様ですね。
まあ、三条の八幡宮の場合、境内に色々な神社を合祀してるので、総鎮守として、色々な信仰を集めているってことなんでしょうか。
また、なんで道祖神の祭りで、火を燃やすのかは不明なんですが、三条の献灯祭でも、境内の一角で、いわゆる「お炊き上げ」、古い札やら正月飾りやらを燃やす行事をやっておりますが(その火でスルメをあぶる)、この辺りはアレですかね、処分したいけど、縁起物なので燃やすにあたっても神聖性を加えたい、とか、そういう理由な気がしないでもないですが、どうなんでしょう。
なんでスルメを食うのかは、さらに不明。
話が外れるついでに、三条の古語で、左利きのことを「ぎっちょ」と呼ぶのですが、どうやら、この「左義長」ってヤツが語源で、実は方言じゃなくて、古語だけど全国共通語の模様。辞書にも出てる。ま、方言てのは、元々共通語だったのが特定地域のみで残存して生じてきたのでしょうけど。