どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse³」を、とりあえず何とか営業しております店主いけのです。
本題の前に、新潟県内は予定通り3月6日(日)で時短要請終了となります。当店は7日(月)が月曜定休日のため、8日(火)から営業再開です。
本題。2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻したものの、当初2日程度で陥落すると思われたウクライナ軍の抵抗が続いております。
どうやら、侵攻を決定したロシアの情勢判断が間違っていた、と言うか、そもそもが判断材料として揃えた情報が、自分たちにとって都合のいい、楽観的なものだけを集めていて、現実を見ていなかったではないか、と言われています。
情報機関KGB出身のプーチン大統領による恐怖政治に基づく長期政権の限界、という印象があります。
長期独裁政権はなぜいつも破綻が運命づけられているのか。
このあいだ、市立図書館で横山光輝の「史記」を読んだのですよ。楚漢戦争を中心にした前後70年分くらいですが*1。一応、気になる部分は原典も引きつつ。
秦王・政の即位(B.C.247)から漢の文帝即位(B.C.180)までの約70年でも、わりと部下の忠告を軽んじたことで滅ぶ人がたくさんいるんですよね。
秦の始皇帝による統一、陳勝・呉広の乱による秦帝国の崩壊、覇王・項羽の台頭、楚漢戦争、狡兎死して走狗烹られる韓信、劉邦死後の呂后一族の専横。
※秦二世皇帝に鹿を馬だと言う趙高さん
強権政治を長く続けることで、諫言(かんげん)する有能な部下を誅殺・追放し、あるいは見放されて離反を招き、後に残るのは出世欲に取りつかれて、君主に気に入られることだけを考える取り巻きたちだけになる。
やがて正確な判断材料を失ったことで、時局を読み誤って、破滅に向かう。
司馬遷が生きた時代の価値観だったり、司馬遷自身の政治的な立場*2とかもあるとは思うんですが。
人間、真剣に物事を検討していれば、お互い相容れない意見にたどり着くことはあって当たり前なのに、自分に反論する人間は邪魔くさくて遠ざけたいし、自分を肯定してくれるヤツを周りに置きたくなるんですよね。
ただ、その甘いことを言うヤツは、自分かわいさで言ってるだけ、あるいは君主の不興を買うことを恐れて言ってるだけなので、本当に大事なことは言わないか、そもそもが何が本当に大事なことかを判断する能力すらなかったりする。あるいは長く仕えるうちに、考えること自体を放棄してしまう*3。
今回のロシアに限らず、洋の東西を問わず、いつの時代にもある話のような気がします。
所詮、人類の進歩は、アイディアの交換と蓄積によって共有されたものであって、生物としての一人一人の人類そのものは、10万年前から、そう変わってない、という。
もちろん、今のロシアは長期政権による破綻、ではなく、西洋を揺さぶるために、あたかも破綻したかのような演技をしている、という可能性もない訳ではないですが。
マッドマン・セオリーとか呼ぶらしいです。
ここでもう1つ気を付けるべきは、大半の人間が騙されている中で自分だけは賢い人間なので、真実を見抜いている、と信じてしまうことです。自分の無謬性を疑わないことで、また冷静な判断力を失い、別の落とし穴に落ちてしまう。
日本では「裸の王様」として知られるアンデルセンの「皇帝の新しい服」は、「愚か者には見えない服です」と言われて、愚か者扱いされることが怖い、という虚栄心から皆、「見えている」と言ってしまう訳です。
恐れを知らない子どもを除いて。
ちなみに、原型とも言われる話が、14世紀のスペインのファン・マヌエルが著した寓話集「ルカノール伯爵」に似た話が収められていて、ここで説かれる寓意は、「あなたにだけは秘密を教えますと言う者に気を付けろ。その者はあなたを陥れようとするから」みたいなことらしいです。