Beerhouse³ 営業日誌

ものづくりの街、新潟県三条市でビール屋やってます

遺伝子編集酵母がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!


はい、こんにちは、新潟県三条市クラフトビールの店をやってる、いけのです。珍しく(?)ビールの話を今日はちゃんと書くよ。

 

遺伝子編集技術を使った特殊な酵母が実験中って話をこないだ耳にしたと思ったら、とっくに予約済みのビールの中に含まれていて、アメリカから日本に到着したよ! ヘッダの写真は缶だけど、樽も!

 

以下は10月初旬に日本語版が出たWiredの記事。全体の3分の2くらい無料で読めます。

 

wired.jp

 

 

ビールといえば、「発酵」という単語は、わりと誰でも思いつくことです。でも、実際に発酵を行う小さな建築家、「酵母」が具体的にどんな仕事をしているかは、しばしば見過ごされがちです。

 

ルイ・パスツールによって酵母が発見されて以来(あるいは酵母が微生物の働きだと知られる以前から)、酵母がアルコールを生み出すことは知られていました。しかし、実際には、酵母の働きはそれだけではなく、ビールを特徴づける魅力的な香りづくりにも大きな役割を果たしていることが近年、広く知られるようになってきました。

 

何世紀にもわたり、酵母醸造における主要な機能は「発酵」、つまり、糖をアルコールと二酸化炭素に変換する能力でした。しかし、発酵は酵母の持つ能力のほんの一部に過ぎません。酵母が糖を代謝する際にはエタノールの他に、分子構造の似た、エステル、フェノール、高級アルコールなど、さまざまな化合物も生産し、それぞれがビールに独自の風味と香りを与えます。大手ビールの主流であるラガービールに対して、エールビールはこれらの香りが複雑なことで知られています。ヴァイツェンのバナナっぽい甘いエステルの香りなどは特に有名ですね。

 

醸造技法の一部として、酵母の株や発酵条件を繊細に操作して望ましい風味を際立たせることは兼ねて行われてきましたが、ここ数年、酵母は糖の分解だけではなく、ホップに含まれるテルペンやチオールといった香りの成分にも影響を及ぼすことが明らかになってきて、香りのために酵母を意図的に操作しようという動きがますます注目を浴びています。

 

よりよい香りのために、遺伝子編集技術によって、酵母のDNAを編集し、特定の香りを強く産み出す酵母も生まれています。遺伝子編集酵母には、オフフレーバー*1と思われがちな特定の成分を生み出さないようにするものや、ホップを使わなくてもホップの香りを生み出したり、あるいはホップに含まれている微量の香りを効率よく引き出して、柑橘、松、花のような香りを生み出したりするものもあります。

 

大規模なホップ栽培は環境への負担が大きいとの批判もあり、遺伝子編集酵母を用いることで、ホップの使用量を減らし、環境負荷を下げる、という意図もあるようです。

 

ホップ栽培と環境負荷について、同じくWiredの記事。

wired.jp

 

 

カリフォルニア大バークリー校から生まれたベンチャーで、遺伝子編集酵母の先端を走るバークリー・イースト社は、まったくホップを使っていないのにホップの香りがするビールの醸造実験に成功しました。しかし、これには、一部のホップ生産者から自分たちの存在意義を脅かすものとして批判もあったようです。

 

結果的に、ホップが不要な酵母を推し進めてホップ生産者と無用の対立を生むと、ビール醸造所も新しい酵母を採用しづらくなると同社は考え、現在は、ホップを使わないのではなく、ホップと組み合わせてよりよい香りを引き出す方向にシフトしている、と冒頭のWiredの記事では紹介しています。

 

今回、届いたビールはハーランドの定番IPA、インディア・ペイル・ウェイル*2の特別版、トロピカル・ウェイル。

 

パイナップルのようなエステルの香りを強調する、バークリー・イースト社の「サンバースト・チコ」酵母を用いたものです。



バークリー・イースト社公式:

berkeleyyeast.com

 

 

今日もChatGPT先生に文章を書かせたものの、ちょっと遺伝子編集に重点を置き過ぎた、狙いの違う文章が仕上がってきたので、途中から大幅に改変。個人的にはバイオトランスフォーメーション、発酵による香りの変化を中心にしたかったんだけども。でも、今回の酵母エステル中心だったから、まあ、いっか、という。

 

てか、先生の文章、前の段落の終わりと次の段落の頭で、同じような内容を微妙に言い換えて繰り返すことがあるのが日本語に訳すと特に気になるけど、どうすかね。

 

 

参考文献:

Wiredの元の英語記事。無料規定が日本と違うようで最後まで読めます。英語だけど。

www.wired.com

 

 

さらに、ChatGPT先生に文章を書かせる前の下準備のやり取りで、先生が引用してきたネット記事をいくつか。英語だけど。

 

発酵によるバイオトランスフォーメーション(生体内変換)の話。

getollie.com

 

生体変換と酵素の話。

https://www.lallemandbrewing.com/en/united-states/blog/enzymes-in-biotransformation/

 

チオールと発酵の話。

https://www.lallemandbrewing.com/en/global/blog/what-are-thiols-and-their-role-in-hop-biotransformation/

 

ホップに含まれるテルペンとチオールと発酵の話。

www.brewersjournal.info

 

バークリー・イースト社の元となったUCバークリーによるホップを使わないビールの研究

https://www.sciencedaily.com/releases/2018/03/180321162259.htm

 

 

アフィリエイトです。特に発酵による香りの変化には触れていない発酵の本。

*1:本来、ビールにはしない方がいいと言われる匂い

*2:ビールの「エール」と、ビッグでトロピカルな海洋生物、クジラの「ホエール」を掛けてるのですが、いけのは「wh」の「h」は発音しない主義なので