どうも。新潟県三条市の中心部、「本寺小路」でクラフトビールを中心とした飲食店「Beerhouse3」を、とりあえず何とか開業いたしました店主いけのです。
久しぶりに、ビールの話。
クラフトビールの世界を牽引してきたのが、IPA、インディア・ペール・エール、という話は前にも書きました。
普段のビールに対して、副生成物の多いエール酵母を使い、エールの中でもモルトの使用量が多く甘味を感じアルコール度数も少し高め、そして何といってもホップの使用量も多いので、香りと苦みが強いビール。
飲む人にとっては分かりすく、醸造所の個性や幅もだしやすい。
その続き。
IPA自体が醸造所ごとに、かなり多様性の幅が広いスタイルなのですが、その幅を超えてさらに広がっている、亜種2種類について。
1つは、セッションIPA。
セッションって単語自体は、IPA以外にも使うらしいのですが、IPA以外ではあんまり見たことないです。
既存のスタイルに比べてアルコール度数を下げた(概ね5%以下)ビールのこと。
アルコール度数を下げるってことは、飲みやすくしたいってことなので、味も比較的、スッキリしたヤツが多いように感じます。単純に度数を下げるためにモルトの使用量をそこまで増やさないせいかもしれませんが。
なお、「session」って単語自体は、「開場期間」とか「活動時間」とか、そんな意味で、昔、イギリスでは飲酒の時間が厳しく制限されていたため(今も?)、飲める時間帯の間(session)に、できるだけ大量のビールが飲めるよう、くいっくい飲みやすい(=Drinkabilityの高い)ビール、という意味で生まれたらしいです。
Drinking culture - Wikipedia, the free encyclopedia
キツい方向のIPAがやりつくされた感じもあり、ここ2~3年、アメリカでは改めて注目されている様子。
と言うか、元々、水みたいなアメリカン・ラガーへのカウンターとして生まれたアメリカ・クラフトビール・シーンだけれど、いよいよ一般層にも浸透してくると、やっぱり彼らは、がぶがぶ水みたいに飲みたいってことなんでしょうか。
一回、アメリカに行って現地の感覚を見てみたいところ。
次。その対極、インペリアルIPA。
インペリアル(Imperial)は、エンペラー(Emperor)と同語源、皇帝のこと。その昔、ポーターを強くしたビールとしてスタウト*1が生まれ、これをロシア帝国に輸出したときに、その一部の特に強いスタウトがロシア宮廷に献上されていたそうで、献上用の特に強いスタウトを、ロシアン・インペリアル・スタウト、と呼んだのだとか。
で、IPAがロシア宮廷に献上された、という話は聞かないけれども、強いビールをさらに強くしたヤツ、と言う意味で、インペリアルとも呼ぶようです。まあ、皇帝だから強そうだし。
あるいは、ただでさえ大量のモルトとホップを使うIPAの、さらに2倍の材料を使うIPAということで、ダブルIPAと呼ばれたりもします。同じもののようです。
Stout - Wikipedia, the free encyclopedia
と言う訳で、個人的には、IPA一色のラインナップには抵抗がある…どころか、実は今、現在、当店のタップ(蛇口)に1本もIPAがつながっておらず、来週くらいまでつなぐ予定もない、ということで、樽で足りない部分はボトルでカバー、の方針にのっとりまして、冒頭の写真のとおり、志賀高原ビールさんのボトルビールを色々と入荷しました。
基本のIPA、少し軽くしたセッションIPAのアフリカ・ペール・エール*2、そして自分たちで飲みたいビールとして「ハウスIPA」と名付けられた強めのインペリアルIPA、その十周年記念バージョンから準定番化した「其の十」となっております。
基本の基本、志賀高原さんが「もりそば」と呼ぶ、ペールエールは樽でつながってます!
よろしくお願いします。