はい、ビールと科学技術にご興味をお持ちの皆さん、こんにちは。新潟県三条市でクラフトビールの店をやってる、いけのです。
先日、筑波大の先生が小3の息子に自然対数の底、e = 2.71...について訊かれて説明に困った、というツイを見かけました。
ブルーバックスのしおりにオイラー数が載ってるのを見た息子(小3)に
— 三谷 純 Jun MITANI (@jmitani) 2023年2月25日
「お父さん、オイラー数ってなに?」
と訊かれたのだけど、
小学生にもわかるような説明のしかたがどうにも思いつかなくて困った😖 pic.twitter.com/l8jYeLGToh
こういう難しい問題の言い換えとかは、ChatGPT先生が得意なヤツじゃね…?
てことで訊いてみた。
ChatGPT先生に訊いたら、「今1ドル持っていて100%の金利で1年間運用する。1年後には利息が1ドルで2ドルだね。今度は同じ1ドルを金利は半分の50%だけど、利息も半年ごとにつくとする。最初の半年で利息0.5ドル、次の半年は1.5ドルの半分で75セントの利息、合計で2ドルより多くなるよね。(続) https://t.co/5Y4BoCEv00
— Beerhouse³ (@beerhouse_cubed) 2023年2月25日
これは抄訳で以下、全文。
ChatGPT先生、答えて曰く
The Euler number or Napier number, also known as "e," is a special number that is used in many areas of mathematics, including calculus and finance. It is an irrational number, which means that it goes on forever without repeating, similar to pi.
To explain what "e" is to a third grader who understands basic arithmetic operations, you can start with a simple example. Imagine you have one dollar and you want to invest it for one year at a 100% interest rate. At the end of the year, you will have two dollars because you earned one dollar in interest. Now imagine you want to invest your one dollar at a 50% interest rate, but you want to compound the interest every six months. This means that after the first six months, you will earn 50 cents in interest, and at the end of the year, you will have more than two dollars. This is because the interest is being added to the initial amount and also to the interest earned in each period.
The number "e" is a value that describes what happens when you compound interest at smaller and smaller intervals of time, like every second or every millisecond. The more often you compound the interest, the more money you will have at the end of the year. This is why "e" is sometimes called the "natural exponential constant."
In other words, "e" is a special number that represents the growth rate when things grow continuously, like interest on a bank account or the growth of bacteria in a petri dish. It's a bit like a superhero number that helps us understand how things change over time.
So, in summary, you can explain "e" to a third grader by using the example of compound interest, showing how the more often you compound interest, the more money you will have at the end of the year. This will give them a basic understanding of what "e" represents and its significance in mathematics.
日本語訳(ほぼDeepL、一部手入れ)
自然対数の底(てい)、オイラー数またはネイピア数は、「e」とも呼ばれる数字ですが、微積分学や金融など数学の多くの分野で使われる特殊な数ですね。eは無理数、つまり、円周率のように繰り返されることなく、永遠に続く数字です。
基本的な算数の四則演算を理解している小学3年生に「e」が何であるかを説明するには、簡単な例から始めるとよいでしょう。
1ドルを持っていて、それを100%の金利で1年間運用することを想像してください。1年の終わりには、1ドルの利息がついたので、2ドルを手にすることができます。
今度は、1ドルを50%の金利で運用し、6カ月ごとに複利で運用する場合を考えてみましょう。つまり、最初の半年で50セントの利息を獲得し*1、1年後には2ドル以上になっているのです*2。
これは、最初の金額に加え、各期間で得られる利息が加算されていくからです。
「e」という数字は、1秒ごと、1ミリ秒ごとなど、どんどん小さな間隔で利息を複利計算したときにどうなるかを表す値です。複利計算の回数が多ければ多いほど、年末に手元に残るお金が増えます。このため「e」は 「自然指数定数 」*3と呼ばれることもあります。
つまり、「e」は、銀行口座の利息やシャーレの中のバクテリアの増殖のように、物事が継続的に成長するときの成長率を表す特別な数字なのです。物事の時間的な変化を理解するのに役立つ、ちょっと超人的な数字というわけです。
つまり、まとめると、3年生に「e」を説明するには、複利の例を使って、複利の回数が多ければ多いほど、1年の終わりに持っているお金が増えることを示せばいいのです。そうすることで、「e」が何を表し、数学においてどのような意味を持つのか、基本的に理解することができるようになります。
先生の英語の回答を日本語に訳したので、上のDeepL訳も、冒頭の拙訳もちょっと用語がカタめかなって感じはあります。
実は、ChatGPT先生は日本語の言い換えも結構イケるので、先生にもう一段、噛まして回答してもらってもよかったかも。
数学的な定義
で、Wikipediaを見たら、なにげに「e」を最初に発見したのは、流体力学の大家、ベルヌーイ先生…のおじさんのヤコブ・ベルヌーイ*4で、最初は複利の計算で発見したらしい。
雑感:ChatGPT先生が得意なこと
自分はOpenAIの画像生成AI、Dall-e2 が夏に出たときに少し触ってみたこともあって、画像生成がStable Diffusionに圧倒された結果、巻き返しを図るOpenAIが去年末に、ChatGPT先生をリリースした直後に触ってみました。
で、最初に触った印象では、自分が知らないことを日本語で質問に答えさせる、というのは全然、機能しないなと思った次第です。シュールな大喜利マシンとしてならともかく。
その後、界隈でガチャガチャやってて1月末くらいから使い道が色々と発見されはじめた印象。
一方、世間一般では、2月に入って、マイクロソフトの検索エンジン、Bingに組み込まれたことで一気に話題になったため、検索、つまり、まさに改めて知らないことを調べる、という目的で使っている人が多い印象。
いや、だから、どこか一点に着地するような正解を目指す能力は、あんまないんだって。
今のところ、ChatGPT先生が得意だと思うことの1つは、こういう自分が答えは知ってるけど、うまく説明できないことを言い換えること、だったりすると思うんですよね。
答え、旅の目的地は知っていて、そこへ至る道順について相談すること。まあ、道順を調べる中で、当初の目的地以外の場所を見つけるってことも、あるとは思いますが。
なお、ヘッダ画像は久しぶりにAI先生ではなく、Pixabayから。